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■第3回ワークショップ(2004年10月21日開催)

ゲストスピーカー:中央青山監査法人京都事務所代表社員公認会計士 桑木 肇氏

タイトル:「成功するベンチャーと失敗するベンチャー −情報開示への意識の視点から−」


1.講師略歴(桑木氏略歴)
  昭和42年3月 同志社大学 経済学部卒業
  平成 6年9月 中央青山監査法人 京都事務所所長に就任(12年7月所長退任・交代)
  平成10年4月〜 同志社大学商学研究科講師「ベンチャー企業の評価」の講座担当
  平成10年度〜 近畿経済産業局“ベンチャープラザ”ビジネスプランの審査委員


2.講演要旨
(1)ベンチャー企業経営者の資質と投資背景
 投資家が投資を行う際に最も重要視することは、経営者自身の人生観(哲学)やフィロソフィーなど経営者としての資質である。従って、経営者は単なる金儲けではなく誠実性を行動の基礎として、事業に対して執念・熱意・闘争心・リスクへの挑戦心などを備え人生を賭けて取り組まなければならない。このような資質を持つ経営者に投資家が惚れ投資を行うのである。重要なのは、投資家の心を掴み信頼を勝ち得ることである。

(2)ベンチャー企業の資金調達
 一番のネックは資金調達である。資金は砂時計の砂と同じで、絶え間なく減り、補充ができなければ倒産の運命にある。米国の場合は、個人投資家(エンジェル)やベンチャーキャピタルが中心となり出資しているが、日本の場合は、自己資金や親族の資金が中心で不動産などの個人保証を取られ、倒産すれば全てを失う恐れがある。
 ベンチャー企業の多くが資金繰りの悪化と資金調達難に陥っている。 これは持っている技術を商品化し販売することについて、社長が思っている以上に困難であることに起因する。周りの人はリップサービスで素晴らしい技術と持ち上げるが、容易には販売に結びつかない。資金繰りに飛び回れば、本来の開発活動に専念できなくなる。 よって、ベンチャー企業には、優れた“良い技術”が必須である。良い技術とは、ものづくりやサービス事業にも共通するいわゆる“売れる仕組み・技術”を指す。経営的に売れる“良い技術”をもつことによりキャッシュフローを生み出すことが可能となる。

(3)ベンチャー企業の情報開示
 ベンチャー企業のディスクローズは大変重要であり、以下の項目に留意し偽りのない事実を正確に外部に伝えていく必要がある。

(1) 過去・現在情報として、P/L・B/S及び各種の内訳明細書などにより実態を適切に示すことが必要である。
(2) 将来情報として、事業計画書に基づく実現可能性のある将来ビジョンを示す。 経営者の熱意と適切なディスクローズを行うことで投資家の信頼を得て、間接金融と直接金融を融合した理想的な資金調達が可能となる。

(4)キャッシュフローの重要性と株式公開について
 P/L・B/Sと比較し、キャッシュフローは誰が計算しても同じ結果で、期間的なズレや裁量の余地がなく、客観的な成果として経営者責任がはっきりする。したがって、出資する場合にはキャッシュフローを生むかどうかで投資判断を行う場合が多い。  株式公開は、研究開発投資、設備投資等に公開で得た資金を活用し、新たな成長をしていくための、いわゆる“ブースター”の役割を果たすもので、売上や規模が小さくとも将来性がある企業であれば株式公開を認められているのである。  

3.記録担当者の感想
 桑木氏は、豊富なキャリアと的確な着眼点により数多くのベンチャー企業を分析され、ご指導されておられる。本講義で勇気づけられたのは、ベンチャー企業は殆どが赤字であるが、そのような現在や過去情報自体は問題ではなく未来情報の実現可能性を明確に示すことによって評価すると述べられたことである。

記録担当院生:岡崎・吉田       


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