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2003年度(2003.4~2004.3) ワークショップ講演
■第2回ワークショップ(2003年4月17日開催)
●ゲストスピーカー:ベンチャー・リンク 大野 長八氏
タイトル : 自分の人生は自分で設計するもの
1.ゲストスピーカーの概要
「自分の人生は自分で設計するもの」との信念に基づき、(株)日本エル・シー・エー、(株)ベンチャー・リンクの取締役を歴任され、人材育成、フランチャイズ展開、株式上場など外食産業の発展に尽くされている大野氏に起業家としての心構えをお話いただいた。
【ベンチャー・リンクの創業】
外食産業を担う経営者の多くは、規模の拡大(店舗展開や上場)を図るという選択肢を持たずに、生活を賄うための開業に留まっている。この原因は、経営者や経営のシステム構築等を支援する体制が整っていないことにある。ベンチャー・リンクは、組織の充実や経営者の能力向上を支援することによって、 IPO(新規上場)などの機会を与え、業界の活性化と発展に貢献していくことを使命と考えている。
ベンチャー・リンクの特徴は、巨大な会員ネットワークの構築と、独特のフランチャイズ(以下FC)展開にある。全国の地域金融機関と提携することによって10万社もの巨大な会員ネットワークを構築し、会員に有益な情報の提供を行っている。また、ベンチャーリンクの投資先には情報のみならず、現場に人材を直接投入し、経営者と一緒になって収益性・成長性という目標を実現させる体制をとっている。
FC展開の最大の強みは本部が高収益のビジネスモデルを構築し、経営改革を集中して行うことによって、個々の経営者のレベルがそれほど高くなくても一定の成功をおさめる域に高められることにある。また、なされた努力に対しての評価と対価を開示することで、働く各人が目標を持って自己実現が図れるようにもしている。働く者全てが自分の目標・目的に合った利益を享受できることになる。
経営者であれ、従業員であれ、会社は個人の自己実現を図ることのできる場でなければならない。それが大野氏の持論である。
【起業人へのメッセージ】
日本では、自分のライフプラン、キャリアプランを若年から明確に抱き、その目標の実現に向けて努力する者は少ない。これは終身雇用制度の弊害である。しかし、今や“会社は個々の従業員を守ってはくれない”。
トップのビジネスマンおよび経営者として成功したいと思うのであれば、まずは自分のライフプラン、キャリアプランを明確に掲げ、その実現のために今なすべきことに取り組むべきである。会社を経営するということは、ビジネスを通じて理想の高い会社を興し、社会に貢献し、会社を継続的に発展させることによって、それに関わる一人一人の自己実現を図るということである。それは、明確な人生設計と事業プランとをいかに一致させていくかにかかっているといっても過言ではない。
創業し、ビジネスを成功させるためには、次の4つの条件が必須である。
第一に、経営者自らが自己の能力向上と自己実現に努力している。
経営者自らが高い志と、自分のビジネスが社会に貢献できる有益なものであるという強い信念を抱いて、事業に邁進していることである。成功者に共通しているのは、目指すビジョンが実に明快であり、しかも自分の抱くイメージを関連する人たち全てに共有させることができる、またその過程を厭わないということである。経営者自体に魅力がなければ、優秀な人材も資金も集まることはない。
第二に、明確なビジネスモデルを作り上げること。
創業の約7割が途中挫折を余儀なくされるのが現実である。その失敗の根本的な要因は、ビジネスモデルの稚拙さにある。抽象的なプランには、行動設計や役回り、ビジネス継続の具体的な裏づけがなされていない。ビジネスモデルとは一度作り上げたら終わりではなく、自社の強み・弱みおよび独自性を認識・分析し、何度も改良していくものである。明確なビジネスモデルを示せないものが、人を動かすことは勿論、成功も望めない。
第三に、有能なパートナーを選ぶ。
会社を経営する上で、すべてに完璧な能力を持つ経営者はほんの一握りにすぎない。会社経営には同様のビジョンを描き、能力を補い合える“同志”を創業メンバーとして持つことが重要であり、後の資金調達や成長を左右する要因になる。
第四に、資金調達は融資ではなく、投資へと視点を変える必要がある(金融機関との付き合いを上手にする)。
経営者は銀行から融資を受けて会社経営の基盤を補おうとする傾向がある。しかし、その返済が会社運営を圧迫するということも往々にしてある。そうならないためにも、融資に依存せず、ベンチャー・キャピタル(以下VC)やエンジェルからの“投資”によって資金を調達する手段を検討すべきである。そのために経営や組織の質を高めておくのは当然のこととして、忘れてはならないことは、起業前の準備や行動が会社の成功および投資に大きく起因するということである。会社設立に気をとられ、事業に関わる行動を開始するのは起業してからで良いと考えがちであるが、起業前にこそ、ビジネスモデルの質を上げ弱点を補い、販路や手法を開拓して具体事例を一つでも多く蓄積することに注力しなければならない。それがVCの信頼を得て投資を受けやすくすることになるし、VCが投資したという実績が銀行から良い条件で融資を引き出すための「担保」となるのである。投資と融資、その両方を用途や事業計画に応じて使い分けることが必要である。
最後に、起業する人へのアドバイスは、最初から大きな成功を狙わないことである。小さな事例を成功させる努力をすると、その小さな成功が次の成功のステップとなり、それを積み重ねることで大きな成功を掴み取ることができる。それを実践の中で学んで欲しい。
講話の後の質疑応答では、ベンチャーリンクの社員の平均年齢が29歳と言われたことについて、人材を育成しても会社に残らないのは意味がないのではないかと質問があった。それには、「会社に永久就職しようという人は最初から採用しておらず、優秀な人材が独立するのは当然のことと考えている。優秀な人材が当社で培ったベンチャー精神を持って独立することが、産業活性化に貢献すると考えている。また経営陣も50歳定年制で、若手が活躍する場を広げる会社にしている」と回答されている。
また、創業メンバーとしての条件に対しては、能力的なものよりも、“同志”意識を持ち、最後まで裏切らずに信頼感を持っていけるかを重視してきたと述べられた。
