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2003年度(2003.4~2004.3) ワークショップ講演
■第5回ワークショップ(2003年5月8日開催)
●ゲストスピーカー:21LADY(株) 代表取締役社長 広野道子氏
タイトル:21LADY(株)の目指すライフスタイルチェーンの総合支援事業
1.ゲストスピーカーの概要
広野社長は、元々ベンチャーリンク社員や三井物産系列ベンチャーキャピタルの上級副社長を勤めた方で、その実績を基に、2000年3月、21世紀のライフスタイルを提供することを目指して21LADY(株) (http://www.21Lady.com)を創業した。現在、早期の株式公開に向けて取組んでいる。

21LADY(株) 代表取締役社長 広野道子氏
2.講演内容
-21LADY(株)の目指すライフスタイルチェーンの総合支援事業--
(1)創業のきっかけ
サラリーウーマン時代、ベンチャーリンクにてFC本部との提携やFC開発を行ってきており、プラザクリエイト入社後に 「カフェ・ド・クリエ」の企画・立上げ・出店などを担当したり、MVC(三井物産グループベンチャーキャピタル)にて 「タリーズコーヒー」の事業展開を推進したりしてきた。
21世紀を生きる女性の自立を支援したいと思いが強くなり創業に至った。事業内容としては、今までの経験を活かしたチェーン・ストアに対するコンサルティング事業やWebサイトによる女性のためのライフスタイル情報提供事業などを主な柱とした。ITバブル期でもあり幸いにも約1億円の資金を集めることができた。創業の理念として、「女性の独立」と「豊かさを感じるライフスタイル提案」に主眼を置き、実業としてFC事業を模索した。
(2)CHOU FACTORY事業((株)リテイルネット)
広野社長は、友人が関わっていたシュークリーム専門店にFC展開の可能性を感じ3,000万円で営業権を獲得した。
シュークリーム(市場規模:2,000億)は、洋生菓子業界(市場規模:5,000億円)の中でも流行に左右されない定番商品である。
しかも、オーナーにとって投資リスクが少なく、年齢・性別・経験を問わないFCモデルである。平均的なオーナーは初期投資1,500万円を2~3年で回収し、 7坪で月商500万円を稼ぎ出している。これは、創業時に考えた経営理念とも非常に合致するもので、「女性の独立」に寄与するものだと考えている。 現在のオーナーの中には、大企業を退職した人(男性も含む)もいる。
事業開始当時は3店舗ぐらいの事業規模だったが、駅ビルを中心に人の流動性がある場所に展開し、 売上高4億円、利益3,000万円まで伸びてきた。JR上野駅にある店舗では1日に約2,000個を販売し売上の約1/3を占めるに至っている。最近のデフレの影響で賃料も安く、 ストア・マネジメントは、若いアルバイトが頑張っているので更なる発展を期待している。
(3)(株)洋菓子のヒロタの買収と再建
知人の紹介で、民事再生を申請した(株)洋菓子のヒロタ(負債総額50億円)に興味を持ち13社のライバル企業との競争に打ち勝ち ヒロタブランド継承を条件に5,000万円で買収した。駅構内など好立地に72店舗を有するシュークリーム・チェーンは魅力であり、 また「シューファクトリー」とのシナジー効果も発揮できると判断した。ヒロタは大規模な工場を持ち各店舗に配送する形態を とっているため製造設備がない駅構内での営業が可能である。
また、駅周辺や百貨店では、シューファクトリーへの業態変更も考えられメリットも大きい。
しかし、当時、古い店舗イメージが定着しており、店舗リニューアルの必要性を強く感じた。
そこで、40万円/株で3億円の増資を実施した。
実際に経営してみると、まさに男性社会であり、年功序列的なムードが蔓延っていた。それを改革するために、退職給与引当金のストックオプションへの切り替えを発表・実施するなど、「潰れるのか存続するか」の選択を迫った。その結果、会社全体として存続の方向性に動くなか、20代の女性店長を大抜擢したところ、売り方や接客を当たり前にするだけで月商500万円の 店舗を倍以上の1,200万円に躍進させることができた。また、駅構内、百貨店のちょっとしたスペースに出店できる移動店舗(投資額100万円程度) も順調に推移している。現在では、黒字化に成功し、年商50億円、利益3億円を見込めるような状態までなってきた。
(4) (株)ハブへの資本参加
大手小売業系列のイングリッシュ・パブである(株)ハブの事業参加の打診が知人を通じあった。
(株)ハブはキャッシュオン・デリバリーシステムを取り入れ、フラットな人間関係の作りに役立つような、社名の由来どおり四方八方から人が集まる 場所となっていた。当社としても新しい業態で、どうしても参画したかったので(株)加ト吉グループと共に出資した。現在、新しいオペレーションで の店舗運営、新店舗の出店を行っている。
(5)ファンドの運用(チェーン・ストア及び生活関連事業向け投資)
ベンチャーキャピタル時代に手掛けた「タリーズコーヒー」事業で、資金調達に苦労する経験をした。
そして、アメリカでは、直接金融で資金調達が一般的に行われていることを知った。
しかし、日本で間接金融である銀行のスタンスとして大原則として担保主義と個人連帯保証がある。
だからこそチェーン・ストアの収益力を一種の担保に資金を出資できる仕組みがあってもよいのではないかと考えた。 現在、京都21ライフスタイル・ファンド、新光ライフスタイル・ファンドを運営しており、独自の判断基準((1)店舗展開と運営ノウハウなどがパッケージ として構築されているか(2)経営者の情熱の有無(3)事業の単純化と標準化がなされているか(4)差別化の要素を持っているかなど)により投資を実行している。主な実績として、グルメサンドイッチ・チェーンや産地400ヶ所から直接仕入れする花チェーンの他、和食チェーン、焼肉屋チェーンなどがある。
3.経営に対する考え方
創業時から経理以外のことは全てやった。1年間は2~3名で運営した。
スタートアップ時期には固定費をかけない努力をするべきである。 損益分岐点を下げないといけない。当社は2期目(決算期により1期目は短期)から黒字転換できた。
当社の事業領域は、消費者の 「衣・食・住・職・遊・学」に関わる部分としている。現状は、外食・中食が中心である。経営をやっていく上では、在庫を持つことは慎重にならざるを 得ないと考えている。今後、健康や教育といった分野は独自性を発揮すれば差別化できるチェーン・ストアに発展する可能性は高いと考えている。 これからの店舗展開は規模を増やすというよりはむしろ違った業態開発していく方が時代とマッチしている。
人の問題については、事業の単純化と 標準化が出来ればアルバイトで事業運営が可能であると考えている。お店を任されて楽しいと感じる人であれば、インセンティブやトレーニングで 伸びていく。実際にアルバイトとして入社し時給800円から社長になった人もいる。
これからの時代はライフスタイルに合わせた働き方も出てくるで あろうと考える。また、男性と女性という観点でみると男性は変化についていけない傾向が強い。男性には変化に対する柔軟性が、女性に比べて 乏しい人が多いように感じる。
今の世の中、過去の経験は必要ないのかもしれない。なお、男女のバランスも非常に大事なので、適材適所で役割分担を きっちりするようにしている。

ワークショップの後に講師と受講生とで記念写真
4.女性起業家の障害はあるか?(学生からの質問に対する広野社長のコメント)
日本は男性社会(キーマンや意思決定者は男性)である。例えば日本の銀行では役員や支店長は男性ばかりである。 しかし、ベンチャーの世界では男女の違いは特に関係ない。私は、言いたいことを言っている。
もし、女性起業家であるが故に損をするようであれば、 その交渉相手とは、取引しない方が賢明である。当社の事業としては、 女性として消費者と視点が同じである分野で勝負しているから逆に得をしている ように感じる。そして、実績を示し信頼を得ることが重要である。
以上
記録担当院生 荒木邦夫・岡田耕治
担当教員 冨田 賢
