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2003年度(2003.4~2004.3) ワークショップ講演
■第1回ワークショップ(2003年4月10日開催)
■第6回ワークショップ(2003年5月15日開催)
●ゲストスピーカー:(株)いろどり 専務取締役 横石 知二氏
タイトル:人は誰でも主役になれる!
1.ゲストスピーカーの概要
1958年 徳島市生まれ
1979年 徳島県農業大学校卒業
上勝町農業協同組合へ営農指導員として入社
81年以降16年連続して農産物の売上を伸ばす等、多くの功績を残す
1991年 上勝町役場に転籍
産業情報センターと株式会社いろどり(第三セクター)の責任者に就任
特産品の「彩」をはじめ、柑橘類、しいたけ、お茶などの企画販売を行う
2002年 上勝町役場を退職派遣
株式会社いろどりの専務取締役として現在に至る
アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー日本大会 特別賞受賞
2.講演内容
1.上勝町はどんなところ?
徳島県上勝町は人口が2,236人と四国で人口が最も少なく、高齢化比率が43.7%(45%以上の自治体は全国に15しかない)という過疎の町である。
また、町内には第三セクター会社が5社あるが、全国の第三セクターの7割が赤字の中、5社全てが平成13,14,15年度と黒字を続けており、年間総売上は15億円に上る。加えて、寝たきりの高齢者が平成13年度で二人と非常に少ない。
2.「彩」とは?
(1)きっかけ
町の将来を憂えていた時、たまたま入った大阪の料理店で、隣のテーブルの女性が食べ物ではなく、添え物の葉っぱに大変興味をもっていたことで、ひらめいた。
つまり、田舎の価値と都市の価値は違い、都会にない「田舎の宝」を都会の需要と結ぶことで、ビジネスが成り立つと考えたことがビジネスのきっかけである。
(2)ビジネスモデル
料理に添える「つまもの」を商品化したもので、町民が栽培・収穫した桜、もみじ等の花やつぼみ、木の葉等をパックに詰めて、東京や大阪等の高級料亭へ出荷している。
消費者の高級志向とも相まってヒット商品となり、年間売上も2億円にまで達している。
「町おこし」効果、町民の「生きがい」創出など、社会的意義も非常に高い。
(3)生産者
女性や高齢者が生産主体である。
月収は多い人で60~100万円にもなる。
(4)情報システム
市町村防災行政無線設備を使った同報ファクシミリで生産者をネットワーク化した。
それまでは、注文がくるたびに電話で連絡し、出荷していたが、時間と手間がかかり効率が悪かった。
ファクシミリの導入で出荷依頼などの情報を素早くすべての生産者に送信でき、生産者も出荷可能かどうかの情報を返信できる。
しかも、無線の空きを利用するため、回線使用料は無料である。
例えば、今から1時間後に南天100ケース揃えよ、という注文にも応じられる。
また、宴会、スポーツイベント、天候などの情報を事前に収集し、最適商品を最適のタイミングで出荷できる態勢をとっている。
―――学生からの質問―――
高齢者がパソコンを使うのは大変ではないですか?
―――横石氏の答え―――
いくら良いソフトができても、使いこなせなければ意味がないので、メーカーさんといろんな実験を繰り返し、高齢者にも使いこなせる方法を検討してきた。
まずキーボードを改良し、ここを押せばこうなるということをはっきりさせた。
マウスも大きい使いやすいものを開発し、マウスでクリックした時に、画面上の文字へマウスが来ると色が変化するようにしたり、画面の文字も大きくするなど、高齢者に使いやすい専用機器をつくりあげた。
しかし、高齢者がパソコンに興味を持った最大の理由は「これを操作することで、自分にプラスになるか」である。
「パソコンを動かすことが儲けにつながる」、それを理解した時に使ってみようという気持ちが生まれた。
また、それまでにも住民に英語を教えるなど信頼関係を築き、話を聞いてもらい易い環境づくりをしていた。
(5)今後の展開
今後も売上は伸びていくと予想しており、そのための戦略も考えている。
氷の中に赤いモミジを入れて飲料やそうめんに使う、ウェディングの際、和のテイストでモミジの赤い包装紙で花束を作るなど、無限の可能性が広がっている。
また、本邦初、全国のホテルと上勝町とをネットワークでつないで発注するシステムも構築しつつある。
我々の山のものに加え、他の自治体と協力して海のものも供給できるようなことも面白いかもしれない。
―――学生からの質問―――
非常にすばらしいビジネスモデルあることから、さらに規模を拡大し、日本国内のみならず、世界にこのシステムを広げるべきではないか?
―――横石氏の答え―――
現在のおばあちゃん達の笑顔に喜びを感じ、心から生きがいを感じている。
しかし、拡大により仕事量が増え、笑顔が消えてしまうのではないかと危惧している。
どこまで成長するべきなのか、本当に迷っている。
3.まとめ
今迄で最も嬉しかったことは、平成8年に他企業からの引き抜きに辞表を提出したところ、一晩で町民全員の印鑑を集めた「引止め文書」が届き、「帰るなら轢いて帰れ」と車を取り囲まれたことであるという横石氏。町民の笑顔を大切にしたいという気持ちは強いが、日本中のみならず海外からも視察・引き合いが殺到している状況に、ビジネス拡大を期待する声もまた大きい。現状維持か、「町おこし」モデルの伝道師となるか、自社ビジネスの全国展開を図るか、それとも両軸共を選択するのかー今後の氏の動向に注目したい。
【会社概要】
〒771-4501
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下横峰3-1
TEL/FAX 08854-6-0166
mail.irodori@stannet.ne.jp
資本金:1,000万円 上勝町(70%)上勝バイオ(株)(30%)
設 立:平成11年4月2日
代表者:上勝町長
業務内容:農産物の企画販売
情報システムソフトウェアの開発販売
以上
記録担当院生 寺西 章江・渡辺 一史
