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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2003年度(2003.4~2004.3) ワークショップ講演

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■第9回ワークショップ(2003年6月12日開催)

●(株)イー・ウーマン社長 佐々木かをり氏

タイトル:起業家としてのチャレンジ~自分で考え、自分で選び、自分で行動するということ~

1.佐々木かをり社長の略歴等

 編集、デザイン、通訳などのコミュニケーションのコンサルタント会社・ユニカルインターナショナルを 1987年に設立。03年にはコミュニティーサイトのイー・ウーマンも創業した起業家である。 96年からは働く女性のネットワーク「国際女性ビジネス会議」も主宰し、内閣府の総合規制改革会議の委員も 務める。訳本も多数あるほか、「ニュースステーション」のレポーターの経験もある。2児の母親。

2.講演内容―起業家としてのチャレンジ~自分で考え、自分で選び、自分で行動するということ~

(1)ネットをワークするユニカルの挑戦
  佐々木社長は20代のころフリーランスの通訳の仕事を主にしていた。当時は、携帯電話や留守番電話も普及 しておらず、仕事の依頼の電話が自宅に入っても、外出中であれば、「受注の機会」を失うこともあった。 電話を取ることができても、依頼の日に別の仕事が入っていれば、断らざるを得なかった。こうした状況か ら、佐々木社長は、フリーの人々の情報交換の組織ができないかと考えた。自分が仕事を受けることが不可 能でも知人を紹介できるような活動である。「個々人で活動している者同士が知り合いになることでメリッ トが生まれる組織を目指したい」「点と点をつなげて機能(ワーク)させたい」という佐々木氏の考えが、ユ ニカル創業の原点にあった。当時としてはネットワークという言葉は珍しかった。佐々木社長は事業計画書 の書き方を学んだわけでもなく、ベンチャーとは何か、すらも知らなかった。
  創業17年目に入ったユニカルの現状は、「つなげる・つたえる」をキーワードに活躍するコンサルタント会社 である。単なる通訳の派遣ではなく、言語能力にプラスアルファの何かの能力(例えば時事的ニュース、医学、 土木、マーケティングなど)を持った2300人が登録している。 カタログの製作、イベント企画、編集、デザインなど様々なプロジェクトを受注すると、そのプロジェクト に合った最高のチームを構成し、顧客にサービスを提供する「適時適材適所」をモットーにしている。 佐々木社長は「通訳の派遣ビジネスではない」と強調する。その違いは、派遣ならば通訳は派遣先の指示に 従うが、指揮命令はユニカル側が行う。プロジェクト完成の視点で、ユニカルが最後まで責任をもつという 方針の表れでもある。

(2)マスから個へ、イー・ウーマンの挑戦
  39歳11ヶ月で2人目の子供を出産した際に、2人目の顔を見ながら、「私は今まで大きなことに挑戦してこな かった。これから私のビジネス人生を築いていきたいと考えた」と佐々木社長は話す。ユニカルを運営して いく中で、やりたいことはあったが、見て見ぬふりをしていた。その大きなテーマが、「マスから個」であ った。大量生産・大量消費の時代が終わり、消費者の行動パターンは大きく変化していた。加えて、個人の 価値観も多様化していた。そうした時代に、今までのマス(大衆)を相手にした企業のビジネスモデルでいい のだろうか、という問題意識を佐々木社長は持っていた。志やライフスタイルについて価値観を共有し合え るような「コミュニティーサイト」の設立を考えた。これがイー・ウーマンである。これまでのポータルサ イトと言われるものは、「人通り」を求めていた。すなわち、不特定多数がアクセスしてくれればよかった。 イー・ウーマンでは、志を共有できるような「仲間」が集まれるサイトを目指した。あるライフスタイルを 持った「賢い消費者」「賢い市民」の集まりでもある。
  具体的な活動としては、「イー・ウーマンサーベイ」がある。ネット上でサーベイキャスターが問題提起し、 それをイー・ウーマンのメンバーから回答を集める。ひとつのテーマで4回双方向でやりとりする仕組みで ある。例えば、郵政公社の生田総裁が「郵便局に不満がありますか」と投げかけると、メンバーから回答が くる。こうした手法を企業の商品のデザイン改良や商品開発に応用する。ある食品会社が、リピート率は高 いが認知度が低い商品を、このサーベイシステムで検討した結果、包装に課題があることが分かり、包装を 変えたら、販売量が3・5倍になった事例もある。日産自動車も、スマートコンシューマーと対話したいと の考えから、イー・ウーマンの法人会員である。法人会員から月額5万円の会費をもらっている。

(3)国際女性ビジネス会議
  96年から始め、働く女性のために年1回実施している。2002年は732人集まった。1人ひとりが成長していくに は、独りよがりではなく、人と人がつながって支えあうことが大切だという佐々木社長の哲学から誕生した。 20代で起業して今までこれたのは、仲間の支えがあったからとの思いも強い。ビジネスだけではなく、恋愛、 結婚、出産など様々なライフステージで仲間と支えあうことで前進しようという組織でもあり、メンターを 見つけるための組織でもある。

(4)佐々木社長の活動の共通点
  人と人がつながってコミュニケーションしていくことの大切さを常に意識している。そして、つながった者 同士がお互いに成長したり、メリットを享受できたりするような活動を考えている。コミュニケーションの 手法には時代時代の変化があり、そこにソリューションを提供していくことが佐々木社長の理念であると感 じた。

(5)起業を目指す人への3つのメッセージ
  佐々木社長は、自らが運営する事業や組織での経験などを踏まえ、これから起業する人に3つのメッセージを 残してくれた。まず1つ目が「ビジョンは燃料、目標はものさし」という言葉である。自分がこんなことやり たい、と燃えさせてくれるのがビジョンである。しかし、ビジョンに基づく具体的な動きは数量化され計測 されている。その数量化されたものは、自分自身がどれくらい進歩したのかを見るために役立つ。
  2つ目は、「win―winの人間関係」である。自分が何か起こす時、その行動が一緒になって動いてくれる人に もプラスになるのか考えることが重要。大事なことは勝ち負けではなく、一緒に成長することである。 最後に「自分の最高で対応する」こと。「できる限り頑張ります」という言葉は使わない。できる限りとは、 できないかもしれないが許してねという意味も含まれている。常に自分の最高の力で対応し、自己ベストも 更新していけば、自分自身が成長できる。

(6)学生からの質問(「今後の展開」や、「佐々木社長自身の メンターは」など)
  自分の哲学にあてはまらないものはやらない。自分らしいという原点に立ち返る。しかし、一方で異なるも のをどう受けいれるかも課題だと感じている。支えてくれたメンターは1人だけではない。進藤会長はじめ、 色々な方にご指導いただいている。自らの不勉強さゆえに、誰であっても常に学ぶところがある。

以上


担当:平松伸子・井上久男

 

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