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2003年度(2003.4~2004.3) ワークショップ講演
■第10回ワークショップ(2003年6月19日開催)
●ファンドマネージャー・ゴールドマンサックス・アセット・マネージメント 藤野 英人氏
タイトル:世界で一番の起業家創出を考えるトップファンドマネージャー
藤野英人氏の経歴
1990年早稲田大学卒業後、野村投資顧問株式会社へ入社。日本の中堅中小企業、国内外の年金 基金・機関投資家の資金を運用。1996年1月から2000年12月までJPモルガンフレミングでファンドマ ネージャーを務め、この会社においても日本の中堅中小企業を担当。運用総額はピーク時には破格の 2,800億円。とくに、1999年末時点における運用成績は、過去5年、3年、1年で日本のファンドマネ ージャー中トップの実績。次に、2001年1月から現在までゴールドマンサックス・アセットマネジメ ントでファンドマネージャー。この会社においても、日本の中堅中小企業を担当。2001年6月「ウォ ール・ストリート・ジャーナル」で、世界のオフショア・ファンドマネージャーでトップ。さらに 2002年末スタンダード&プアーズ・マイクロパルの日本中小型株部門で、3年間の成績において1位。 まだ34歳という若さで、数々の実績を残しながら、全く奢りのない謙虚で冷静な方である。ファン ドマネージャーには異色のタイプである。
講演要旨 ファンドマネージャーから見た成長企業の見分け方
1.ファンドマネージャーは、素晴らしい仕事です。藤野氏は、経歴でも述べたとおり、数々の高い実績を残されています。その裏には、たゆまぬ努力 と探求心を重ねられ、今日までやってこられた方だと思います。たとえば、今日までお会いした経営 者は、年に300人、のべ3000人だそうです。年に300人とは、平均して一日に一度は出張して、どこか の経営者と会っているわけです。それも、さまざまな産業の方と、です。この間、不動産バブルから ITバブルのふたつのピーク、証券不況をはじめとした4つの谷を経験され、なかにはお会いされた後、 切腹された経営者がいたとか、無名の経営者が時代の寵児になったなど、世の中の悲哀を目の当たり にされた経験もお持ちです。
人の見えないものを、会うことで見えるようにし、その会社の投資判断をされている。何が素晴らし い仕事か。たくさんの経営者に会うことで、良き起業家、良き人(国境を超えて)との出会いにより、 人財・人脈ができるところであるとおっしゃいます。
2.ファンドマネージャーの本当の役割は
成長性の高い優れた企業にリスクマネーを配分するわけですから、その企業経営者と一緒に悩み、 相談に乗り、資本市場を通じて明るい未来、豊かな社会を創ることをミッションとされています。 投資のプロダクトは「輝く未来」と位置づけ、エクイティ(直接金融)ビジネスは知恵と勇気と誇 りをもって行う。株式市場は英知を結集し「未知の分野の成長を支える場」であり、投資はエクイ ティビジネスの根幹である。こうした考えに基づき、投資行動としては「愛情を持つこと」をテー マとしています。
投資行動は悩みの連続の中で決断されますが、決断しないのは大きなリスクとなります。第三者 的批判ではなく、企業の価値創造をすることが、本当のファンドマネージャーの役割だと考えます。
3.投資活動とは
経営者もイメージしきれない成長のイメージをつかみ、経営者とディスカッションできることや、 人と話したり本を読んだりして五感を磨き、表現力をつけることが大切です。
また、人としての学識を大切にすることで、バランス感覚、肌触り感覚を身につけることは、 ファンドマネージャーの生命と考えています。そのためにも、外に出て、たくさんの人と会い、いろんなことを経験することに集中し、会いたい人には自分から積極的に会いに行っているそうです。 藤野氏の考える投資は「パフォーマンス(運用実績)」ではなく「輝く未来」といいます。株式市 場は「未知の分野の成長を支える場」であります。その場においてエクイティー(直接金融)ビジ ネスはリスクを取って行く仕事ですから、知恵と勇気と誇りを持って投資を行うのです。だからこそ、投資をする会社には「輝く未来」があるのです。
「輝く未来」の投資活動を行う際に念頭に置くのは、
(1)成長のイメージを的確につかむこと、
(2)人としての 常識を大切にすること、
(3)外へ出てたくさんの人に会い、いろんなことを経験すること、
(4)自分の意見をも つこと、
(5)間違いを認める勇気を持つこと、
(6)シンプルに、
(7)正確に間違えるより、おおらかに正しいこ と、
以上のことだそうです。とくに、(3)に関しては年間で300社の社長に会っておられ、これまでに 3000社を超えておられるそうです。表面上しか見えなかったものが、会うことによって見える、 これが「会社 診断の法則」のような気がします。
4.ファンドマネージャーの藤野氏とはどんな顔!
ファンドマネージャーには、研究者・学者、分析者・評論家、予想屋、相場師、投資家、アドバ イザー・コ ンサルタント他いろいろな顔がありますが、藤野は、投資家・コンサルタントの顔が強いと言っておられました。ただ、他のファンドマネージャーと大きく違っていたのは、次のことです。
(1)徹底的に現場主義を貫いた。
(2)短期実績よりも長期実績に絞り込んだ。
(3)「見えない資産」を見ようとした。
(4)経営者との議論を大切にした。
(5)楽しんでいた。
前述したように、3000人を超える経営者と会っていることからも(1)~(4)は納得できます。それと(5)ですが、我々も含めて、仕事は楽しまなくてはいけない点を実行されているところは非常に感 銘しました。
5.本当の価値を評価する焦点は
従来は、物的資産と金融資産という、どちらかと言えば表面的に見える部分に焦点を置いてきましたが、これからは、特に顧客資産と人的資産に焦点を置き、物的資産と金融資産を結合した組織 資産こそが本当の価値と考えています。組織資産は会計上には出ない、したがって見えない資産な のです。前述しているとおり、見えないものを見ようとするところに付加価値が生まれるのです。
6.藤野氏の見る未来企業の価値観
藤野氏の価値観としては、
(1)価値主義、
(2)加点主義、
(3)個人尊重(「人」がすべて)、
(4)知的財産(見 えない資産)の追求、
(5)楽しい(「わくわく」の追求)、
(6)プロフェッショナル、
(7)信頼、
(8)仕事と家庭のバランス、
(9)最高品質、
(10)最高効率、
以上の10項目があります。これらのどれをとっても、これからの 企業に必要不可欠な要素といえ ます。
7.3000人の社長から得た会社の運命
社長の性格や人格で会社の運命は決まる。
ダメな社長 1.自分の過去の苦労話にインタビューの大半を割く
2.人の話を聞かない
3.質問したら怒り出す。
4.社長室が豪華
5.著名人との親交を臭わせる、強調する。
6.株価を気にしない。
7.業績不振の理由を景気や政府のせいにする。
伸びる社長 1.自分の会社の話をすると興奮する。
2.総論を話し、各論も話す。
3.目線の高い人。
4.全体調和を意識できる高みがある。
5.Give gives giveの意味がピンとくる人。
藤野氏が3000人もの社長と会って得た結果であるがゆえに、非常に的を得た、人を見抜く洞察力に は驚嘆するばかりです。
8.一流と二流を一発で見分ける方法
それは、あるものを10秒以内で取り出せること。 何かわかりますか? 答えは、メモ帳です。 人と会った時、直ぐにメモを取ったり、何かひらめいた時に直ぐにメモを取る。ある有名人の話でも、 メモ魔は非常に実績を伸ばしていると聞いていましたが、藤野氏からもお聞きして確信しました。皆 さんも心当たりがあるのでは無いでしょうか?早速10秒以内でメモが取れるようにして、一流を目指 しませんか。
9.藤野氏の夢
1.トップマネージャーより世界一の起業家創出でトップになる。
2.日本個人資産1200兆円のうち10%をファンドにする。
このようにファンドマネージャーの域を超越した素晴らしい夢に向かっている藤野氏の未来に大いに 期待したい。我々、学生のほとんどは、藤野氏がこれから独立されたとしたら、短期間に大成功する 人だと確信しました。
以上
記録担当院生:森川 國弘・柳生 美江
