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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2004年度(2004.4~2005.3) ワークショップ講演

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■第4回ワークショップ(2004年5月6日開催)

●ゲストスピーカー:ユーザックシステム(株)相談役 井上 卓郎氏

タイトル:「起業家を目指す若者へのメッセージ ~私の大阪での起業・経営経験から~」

1.ゲストスピーカーの概要
同志社大学法学部卒業後、文具卸問屋の住込み丁稚奉公から出発し、1971年に資本金800万円で、 オフィスコンピュータ販売、ソフトウエア開発会社を起業する。

2.講演内容

(1)起業までの背景・経緯
最初の職場で商売をする上での能力は、机上の理論よりも、商品知識や得意先情報の精通など現場 感覚が極めて大切であることを痛感する。電卓取扱い開始の提案(1963年)を契機に、コンピュータへの 関心が高まり、仕入先の社員と協力して、超小型コンピュータの取扱いを開始する。しかし、人材の壁 の問題が浮上し、新事業展開への制約もあったため、培った人脈を通じてキーパーソンを獲得し、新会 社を設立に至る。

(2)ユーザックシステム㈱の設立
『人財こそ命なり』を経営理念に、社長の役割では、よい人材にめぐり合いコラボレートすることに ウエイトを置く。将来社長になりたい人、自主独立の気概のある人を採用する。併せて当初から人事 制度に成果主義を導入するなどし、社員から信頼を得る工夫を講じている。メーカー研修を社員に受 講させ、人材の定着、育成、活用も図る。大企業では自己防衛を優先、リスク回避の行動原理が内在 するが、ユーザックシステムではベンチャースピリットを発揮できる環境を重要視している。

(3)ソフト開発センターの設置
業界初、市場トップを狙ったオリジナルソフトの研究開発実践部隊として、「ソフト開発センター」を 1982年に新設。「創造こそ命なり」、「顧客こそ命なり」、「品質こそ命なり」をキャッチフレーズに、 差別化したソフト開発事業を多面的に展開してきた。

(4)ITバブル崩壊後の対応
倒産の危機を乗り切るため、リストラを断行するとともに、物販中心と、若手社員に権限委譲したソフ ト開発受注中心の2社を分離独立させた。後にニッチねらいの動物病院のアプリケーションソフト会社 等グループ系企業や、独立系企業が成長してきた。今後とも、ユーザニーズの徹底した掘り起こしを ベースとして、物流コスト削減を中心にシステム開発と提案機能をより充実させていく。

3.講演を振り返って

注目したい点は、1982年当時に「ソフト開発センター」を設置した発想である。戦略論には言及されな かったが、業界初への井上氏のこだわりにより、市場性が大きくIT業界が成長する前に、利益を獲得する戦略を意識して設けられた組織であると理解したい。フリーなOSであるLinuxを初期の段階で導入・ 活用された点も見習いたい。

さらに、井上氏自らは理系ではなく文系出身であることから、専門技術的な領域は技術者サイドに委ねることを明言し、社長の果たす役割の大半を「人財」の獲得、育成に絞った点も看過できない。この姿 勢こそが、社員の一人ひとりの参画意欲や自主性を醸成し、ボトムアップ型の組織風土を結果的に生み 出したといえる。

起業家としての、業界でのポジショニングを見極める着眼点や、自らの資質、能力を踏まえたリーダー シップの力の入れ具合に関して、示唆に富むものを学んだ。                         

以上


記録担当院生 原田 浩

 

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