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2004年度(2004.4~2005.3) ワークショップ講演
■第10回ワークショップⅠ(2004年6月17日)
●ゲストスピーカー:(株)甲南チケット代表取締役 小林 宏至 氏
タイトル:「時流に乗りながら、スクラップ&ビルドで拡大へ」
1.小林宏至氏の略歴
昭和35年大阪府立大学工学部卒業。川崎航空機工業(株)入社。昭和40年神戸大学経営学部第二課程卒業。昭和48年川崎重工(株)退社、「こうなん美術」を創業。現在「(株)コーナンファース」及び「(株)甲南チケット」代表取締役。
2.講演内容
(1)商品のライフサイクル
昭和48年、百貨店(神戸)のインテリア売場にて工芸画の販売開始。昭和50年民芸品の販売を開始。昭和52年下火になった工芸画の販売を中止し、インド更紗の販売を開始。昭和54年民芸品から撤退。同年高級家具ブームに乗り唐木家具の販売開始。昭和56年、インド更紗から撤退、健康産業へ進出、しかし唐木家具販売は赤字に転落。
この経験から、商品のライフサイクルは4年であることを悟る。すなわち、1年目頑張れば軌道に乗る、2年目ピーク、3年目下がり始め、4年目後退。金銭的にも精神的にも余裕のある3年目にさしかかるときに新規事業を立ち上げるのがベスト。
(2)パートナーシップ制(比例経営成果分配方式)
健康産業から撤退後、自分の店・自分のブランドの確立、ライフサイクルの長い商売、チェーン展開を目指して、百貨店から撤退。昭和61年現金前払い、仕入れなし、在庫なし、軽微な設備で十分という衣類の修理業「私のお針箱」((株)ファース)を設立。当初職人を雇用したため、人件費や家賃に食われ赤字状態が続いた。そこで、雇用関係から店長とのパートナーシップ制度(家賃は会社負担、人件費・材料費は店長負担、利益を両者で配分)へ転換を図り、黒字化に成功。以後、念願のチェーン展開に成功。
(3)薄利多売=資金量×資金回転率
平成元年甲南チケットを設立、チケットの安売り事業を開始。この事業は資金量と資金回転率で勝負する薄利多売の典型。資金量は焦げ付きが起きないように余裕を持たせることが大切。資金回転率を上げるには、立地最重視で同業者が連なる激戦地に店を出すこと、また、在庫を毎日管理し売れ筋商品を絶やさないことが大切。
3.講演を振り返って
スクラップを決断する能力そして勇気を備えた経営者は希有であろう。小林氏が仕事帰りに通った経営学部にて修得した実学的知識が大いに役に立っているのではないか。時流をつかむコツは何かという学生からの質問に対して、この商売は長くは続かないという危機感を常に持っていると見えないことが見えてくる、聞き流している情報が耳に入ってくる、と小林氏は答えられた。
成功後転落し再起不能となったベンチャー企業の創業者たちは危機感と撤退する勇気を忘れていたといえる。小林氏は起業家であり経営者であるという二つの側面をバランスよく備えている。最近、小林氏は若者のエネルギーに資本と経験を託すエンジェル事業を新しく立ち上げられた。
何度も起業と撤退を繰り返してきた小林氏のお眼鏡にかなう者が当研究分野から数多く輩出されることを願う。
以上
記録担当院生 林佐智代
