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2006年度(2006.4~2007.3) ワークショップ講演
■第13回ワークショップ(2006年6月15日開催)
●ゲストスピーカー:松下電器産業(株) 客員
倉林龍一 元パナソニック コンピューター カンパニー社長
タイトル:「松下電器の社内ベンチャー的新規事業レッツノートの創業から学ぶこと」
1、倉林龍一 氏の略歴
松下電器産業(株)電化本部情報システムセンター所長として事業部門情報システムを統括、特にCAD/CAM/CAE/FAさらにCIM構築に従事。
その後、本社情報企画部長としてグローバル&コーポレート戦略情報システムの企画、 マルチメディア事業企画室長、コンピューター事業推進室長を歴任。
1997年社内ベンチャー企業のPanasonic Computer Companyの社長としてLet's Noteを柱に事業を育てる。
昨年まで、大阪市立大学大学院創造都市研究科教授として、システム・ソリューション研究分野の「経営業務改革」「ソリューション・テクノロジー」「事業企画開発」等担当
2、講演内容
(1)松下における当時のコンピューター事業の実情
複数の事業部門でコンピューター事業を推進する。業務用ノートパソコン、個人向けTVパソコンの独自開発、IBMへの製造OEM、スーパーコンピューターの独自開発、全国にコンピューター販売の為販売会社設立等。
しかし、それらの事業は、ノートパソコン事業以外は全て撤退することとなる。
(2)コンピューター事業の見直しを図る
オール松下のCIOからパソコン事業責任者として社命を受け、3年間シリコンバレーのIT関連新規企業研究や周辺機器事業を中心にした事業化準備の後、1997年に本社統括でパナソニック コンピューター カンパニーを設立する。
当時すでにパソコンはコモディティ化していた商品であり、絶対的なコスト力のあるビジネスモデルを構築するか、独創性のある商品開発が出来なければ、新規参入は無謀である。と判断し、過去の事業の失敗から、商品戦略、販売戦略、事業戦略の見直し図る。
(3)戦略の選定と立案
第一に、他社との差別化の要素は何かを探る。
(デバイスの要素技術は豊富、軽薄短小製造技術は世界有数である)
次に、世の中のトレンドと今後の動向を探る。
(企業、社会、個人がIT時代であり、さらにモバイル時代が到来する 先回り戦略が打てないか?)
そして、ニッチ市場を探り、ピンポイントによるマーケティングを展開する。
(松下らしくないマーケティング戦略をとる)
(4)Let's Noteのデビュー
他社がライトユーザーをターゲットにラインアップと低価格戦略をとる中で、スペック を重視し、パワーユーザーをターゲットにした、Let's Noteが衝撃的なデビューをする。
B5サイズで1.5kgを切る軽さと、当時としては進んだSVGAで、鮮明なTFT液晶を搭載し、バッテリーも3~6時間の使用にも耐えられる設計で、発売と同時に人気が集中し、パソコンの本格的なモバイルコースの道を開いた。そしてニッチからグローイングニッチへと展開して、創業3年にして650億円の売上を達成 できた。
現在の国内パソコン業界においても、個性的な商品として、モバイルユーザーを中心に愛用者が多く、それなりの存在感を有している。
3、記録担当者の感想
このLet's Noteは、国内で、数少ない社内ベンチャーとしての成功例である。
シリコンバレーで世界の事情を肌で感じ、国内のパソコン事業の調査、事業の見直し、戦略の選定と立案、妥協を許さない商品開発、中でも凄いと感じたことは、松下らしくない、ニッチ市場を狙ってのビジネスモデルを展開したということ。調査、分析、選定と立案の重要さ、良いビジネスモデルが事業を成功させるカギとなるということ。まさにアントレプレナーシップを研究する我々にとっては、すばらしい、お手本となる講演でありました。

講義後アントレ分野学生に囲まれた倉林元社長(前列中央)
以上
記録担当院生 佐藤 卓也・山崎 英彦
