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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2007年度(2007.4~2008.3) ワークショップ講演

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■第6回ワークショップ(2007年11月08日開催)

●ゲストスピーカー:(株)あきない総合研究所 代表取締役 吉田 雅紀氏

タイトル: 起業するということ

<はじめに>
 講師が経営する㈱あきない総合研究所は、ベンチャービジネスのスタートアップに特化した支援を展開し、起業家が成功し、尊敬される社会を作ることを目指している。今回は、講師ご自身の起業家経験を踏まえて、「起業するということ」についてお話しいただいた。

<講義内容>
1.起業家歴
 昭和51年に小泉産業に入社後、昭和59年に社内ベンチャーとしてベビーショップ「ポムアレー」を立ち上げた。その後、平成2年に「ポムアレー」が小泉産業から分社化され、平成5年に自分で買い取る形で独立した。夜も寝ずに1日10時間以上働いたがうまくいかず、任意整理し1億円の負債を抱えたのが30 歳代後半だった。しかし、最初から成功すると天狗になっていたかもしれないので、これでよかったと思う。42歳で起業に特化したコンサルティング会社を作り、エルゴブレインの井筒氏、サイボウズの高須賀氏、ナチュラムの中島氏、シナジーマーケティングの谷井氏などを支援し、周りが金持ちになることで自分もよい影響を受け、金が廻ってくるようになってきた。結局、1億円の負債を3年で返済することが出来た。人生はチャンスとタイミングだ。その後、「ベンチャーとインターネットのコンサルなら吉田」と言われるようになり、大阪産業創造館「あきない・えーど」や起ち上がれニッポンDREAMGATEの立ち上げに携わった。

2.スキメシとマズローの欲求5段階説
 スキメシとは、今、好きなことで飯を食うということであり、起業の原点はスキメシだと思う。服部貴美子氏がインターネットの無料コミュニティーで「すきめしの会」をやっており、「月曜日の朝に会社に行くことがしんどかったらちょっと考えてみたら」という提案をしている。発展途上国では今日の飯のことで精一杯であるが、日本は豊かになり飯を食うために働く必要がなくなった。現代の中高生には「生活のために働く」という現実感がないので「人はなぜ働くか」ということを考えさせるのは難しいが、人が働く理由はただ一つ、「おもしろい」からだということに気づかせればよい。マズローの欲求段階説によれば、人間の欲求には①生存の欲求②安全の欲求③社会的欲求④自我の欲求⑤自己実現の欲求の5段階があり、人間は下位の段階の欲求が満たされれば次の段階の欲求の充足を目指すものであるが、今の日本で①生存の欲求や②安全の欲求で働く人はいないだろう。起業する人は④自我の欲求または⑤自己実現の欲求に突き動かされて働く。

3.アントレプレナーシップと情熱 確信 志
 どういう人が起業に向いているかとよく訊かれるが、「社長になんか誰でもなれる」と答えている。成功のイメージは人それぞれであるので、100人いれば 100通りの成功イメージがある。起業して成功するために必要なものは、この事業を絶対成功させてやるという情熱、この事業が絶対成功するという確信、この事業は社会の役に立つという志。もともと、起業の志はマズローの欲求段階説の⑤自己実現の欲求だと思っていたが、最近は④自我の欲求(野心)でもよいと今は思っている。クラーク博士の言葉”Boys, be ambitious!” の”be ambitious!”は「野心的であれ!」と訳すべきだ。とは言え、スタートアップの段階では野心だけでもよいが、野心とは己の欲求だけなので、将来的には志を持たなければならない。

4.事業立ち上げに必要な資源を集めるために
 事業を立ち上げていくために必要な資源は、人、物、金、情報、設備、技術などであるが、起業家は通常何も持っていない。資源を集める方法は二つしかなく、一つは一所懸命生きている姿を見せて周りから信用、信頼を得ること。もう一つは自分の思い、考え、ビジネスプランなどを伝えるプレゼンテーションの力を持つことである。

5.今を辞める勇気
 新しいことにチャレンジする勇気も必要だが、一番大事なのは今を辞める勇気。言い換えれば、今持っているものを捨てる勇気であり、辞める決断をするまでにはすごくエネルギーと時間がかかる。

<ワークショップ担当学生所感>
 「起業するということ」について、ご自身の体験や数多くのコンサルティング経験に基づく明快な考え方をお聞かせいただいた。講義の中では「吉田は日々進化している」というフレーズを何回も使われていたが、現状の考え方に満足せず、常に進化を目指している講師の姿勢に感銘を受けた。また、講義の後、「働く」ということと「自己実現」、「起業」について学生同志で話し合いを持った。論点を提供いただいた講師に感謝したい。 

以上


文責:真下健・清水正彦

 

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