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2007年度(2007.4~2008.3) ワークショップ講演
■第03回ワークショップ(2007年4月26日開催)
●ゲストスピーカー:(株)大野アソシエイツ 代表 大野 長八氏
タイトル:ベンチャー企業・成功の条件
はじめに
「ベンチャー企業成功の条件」は、起業を志す者にとって最大の関心事だ。如何にすれば成功できるのか。その解を求めるため、大野長八講師の講話をお聴きした。
講師について
大野長八講師は、現在までに3000社を超える中小企業およびベンチャー企業に対する経営相談・指導を積み重ねてこられた。また、約20社以上を株式公開させ、サンマルクや牛角に代表される成功事例を生み出してこられた。ベンチャーリンク社の創業役員として活躍され、現在はベンチャー企業を専門とする関西有数の経営コンサルタントとしてご活躍中である。
講話内容
1.人生設計
自分の人生は自ら設計するとの意志のもと、10年後、20年後、30年後の人生をデザインしていくことが肝要だ。起業を考える会社員はただちに「会社のために自分があるのではなく、自分のために会社がある」と発想転換すること。大企業に勤める人々は、上司に対して「新規事業を担当させてくれ」、「子会社に出向させてくれ」と要求し、起業に向け自己鍛錬をしていくこと。いわゆるワーキングプアの人々も、アルバイトで稼ぎながらビジネスの現場で学びつつ、人生設計していくことはできるはずだ。
2.起業家とは
世の中に必要とされる素晴らしい会社を作るのが起業家だ。N電産は約20年前に京都の亀岡において従業員30人程度で創業されたが、現在は年商4000 億円規模の企業となった。同社の創業経営者は「世界にない会社を作り社会に貢献したい」というポリシーを持つ起業家であった。だから、いい人材が集まり、人材が育成されたことで成功したと考えられる。
3.成功の条件
(1) ビジョン
「世の中に必要とされる素晴らしい会社を作る」という明確なビジョンを持つこと。トップの持つビジョンで会社の将来は決定する。
(2) 覚悟
起業家には、失敗すれば全財産を失う覚悟、失敗しないために全てを放り出す覚悟が求められる。成功のためには、不眠不休で働くのは当たり前だ。電機メーカーのS社も、戦後創業した当時、創業者は夜を徹して働いていた。
(3) 徹底的な調査
起業前に、見込み客、競合他社、うまく行っている会社とそうでない会社ではどこが違うのか等について、徹底的に調査すること。これを実行している起業家は少ない。調べようと思えば、図書館やインターネット等々、いくらでも情報源はある。
(4) 綿密なビジネスプラン
ほとんどのベンチャー企業は「カネ無し、客無し、プラン無し」で、創業3年以内に70%近く倒産、廃業していく。起業する以上は、綿密なビジネスプランを立てること。プラン作成にあたっては、自分の周りから協力者を探してビジネスプランに対する見込み客のニーズのアンケートをとり、現場へ行って市場調査を行う。さらに、成功事例や失敗事例を数多く知っているベンチャーキャピタルの意見を聴くなどしてビジネスプランを最適化すること。そして、「3年後には 20億円の売上と2億円の利益を達成し、東証マザーズに上場する」といった明確な目標を掲げること。そこまでやって仕上がった「綿密なビジネスプラン(理論)」を「実践」により検証し、エンドレスに改良していくこと。
(5) 簿記会計の基礎知識
簿記会計の基礎は経営者にとって当たり前の知識のはずだが、過去に経営指導した企業の約3割の経営者にはそれが不足していた。そのような企業は倒産していく運命にあるだろう。
以上5点は特に重要な条件であるが、過去に経営相談・指導した3,000社以上の中で、これらのことがきちんとできていたのは、30社程度だった。
結び
講師は大学生時代、コネで入社して入社後はほとんど勉強せずに同じ企業で一生を終える日本の会社員の姿に違和感を覚え、経営コンサルタントになることを決意された。そして、大学卒業後(1971年)に簿記学校へ入り直し、会計事務所勤務を皮切りに経営コンサルタントとしての経験を重ねてこられた。そんな講師の話題は豊富で、長年の経験と数々の成功に裏打ちされた重みがあったが、この講義録では紙幅の都合上、その多くを割愛せねばならないのが残念である。今回語っていただいた「成功の条件」のそれぞれは決して難解ではなく、むしろ起業するのであれば当然のこととも思えるが、あえてそれらに言及されたということは、それらを実行することは現実には難しいということであろう。起業を志す者として、講師の言葉の一つひとつを心に銘記しておきたい。
以上
文責:清水正彦・寺田佳子
