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2007年度(2007.4~2008.3) ワークショップ講演
■第05回ワークショップ(2007年5月17日開催)
●ゲストスピーカー:ヴイストン株式会社 代表取締役 大和 信夫氏
タイトル:人とロボットの豊かな未来を創造する
◆経歴
1)防衛大学⇒自衛隊⇒父の会社
学費不要の防衛大学を高校から紹介された。防衛大学は授業内容が厳しく、入学時の3割はやめてしまうが、やめる選択肢はないと思ったので辛抱し卒業できた。卒業後、自衛隊に入隊。その後、父の会社を手伝うが、経営はおもわしくなかった。30歳にて次のことを学んだ。(1)技術者は営業状況を把握していない。(2)会社が悪くなっていく状況がプロセスとしてわかる。
2)起業準備の前に不動産会社に4.5年
営業勉強のために保険、車、不動産業界のどれか一つを3年間やろうと思った。宅建の合格もあり、不動産会社に就職。3年後、予定通りやめるつもりであったが法人営業部に転属になり、面白そうなので1.5年延長した。
3)1999年退職(起業準備)
自分がやりたいと思えることを前提にビジネスプランを作り、いろんな方にプレゼンを繰り返したがなかなか投資してくれる人は見つからなかった。
◆大木社長との出会いと起業
2000年、日本LSIカード 大木社長(当時)に出会い、プレゼンをしたら「大学の先生が面白い技術をもっている。いいねたやから手伝いなさい!」といわれた。技術は阪大石黒教授所有の全方位センサーであり、当時、国立大学教官が民間企業の取締役になれる法改正があった。ヴイストンを設立したが、商品は全方位カメラからスタートし、2003年からロボットを手がけている。
・2000年5月 先生との出会い
・2000年8月 起業 資本金1,200万円
渡米 GM、3M社に共同開発を打診,特許出願,
サンプル品を販売開始
・2001年1月 増資 2,200万円 ベンチャービジネスコンペを受賞
◆なぜロボット?
財団法人大阪市都市型産業振興センターが運営する「島屋インキュベータ」に入居していたが、2003年5月、大阪市がロボット事業補助金制度の公募をし、それにチームを組んで申し込むと採択された。それがロボット参入のきっかけとなり、ロボット事業の「チーム大阪」として、2004年からロボカップ世界大会(ポルトガル・リスボン)に出場した。結果は、ヒューマノイドリーグで優勝。その後、大阪、ドイツ・ブレーメン大会と3連覇を達成。ロボットをやっているというと世間にわかりやすく、会社のブランディングに役立つ(しかし年間費用3,000万円の負担はきつい)。2005年に「ものづくり企業三百選」に選出され、2007年8月には、経済産業省関係の「第2回ものづくり日本大賞」に選ばれた。
◆経営理念
楽しくなければ会社じゃない 面白くなければ仕事じゃない 儲らなければ事業じゃない。
スピリッツ:優れた科学技術は人々に輝きと感動を与える。我々はこの輝きと感動で人々・社会の幸福と繁栄に貢献し、また我社に集うすべての者が自己実現をなしうるために、限りなく発展し続ける会社をめざす。
起業一連の作業で経営理念をつくることが一番難しかった。父親からも「ちゃんとつくっとけよ 苦しくなったときに最初の思いを忘れる。原点を見失ったらだめ」といわれた。人を動かす要件はつぎの3つ。(1)お金をあげる、(2)ほめる、(3)感動(させる)。(1)、(2)は無限でないが、(3)の感動はやりようで無限である。もっとも大事なことだと思う。
◆アドバイス
1)技術開発は販路優先!
試作先行タイプでいくと製品開発にマーケットニーズが反映されにくく致命的なミスになる。販売店に対してプレゼンをし、開発費の分担を要請することなどは重要である。そこそこ良い程度では開発費を負担する人はいない。(1)マーケットニーズが早期にわかり、開発方針の変更、方向転換を図れる。(2)資金負担も少なくてすむ。
2)複数のビジネスプランを作成すべし
とにかく複数のビジネスプランを作成し、プレゼンを重ねること。相手のコメントにより鍛えられる。
3)マーケット戦略
これまでにない商品・サービスを考える。ポイントは「競争相手が少ない商品」「専用・特殊用途の商品」「大量生産をしにくい商品」。ありきたりの市場に類似の商品で対抗できるわけがない。
4)今後最も重要となる経営材料は、場所
各々の事業に適した場所がある。ロボットは関西が抜群に良い。技術力の高い企業・大学・研究機関が多い。経済団体も一丸となって推進している。ロボットを始めてから「東京にこないか?」といわれなくなった。
5)財務戦略:潰れない会社にするための工夫
「手形の発行をおこなわない」「銀行借入れをしない」「支払条件で妥協しない」。要は、会社が潰れるのは、大赤字だからといった理由ではなく、お金が回らなくなった時なので、お金の状況がシンプルに分かるように、現金商売のような形にしておくのがいい。
6)失敗事例に学ぶ
ヴイストンの失敗事例
・(1)自動車用ドライブレコーダー、(2)全方位映像を活用したデジタルアーカイブ、(3)自由局面ミラーカメラ、(4)ホビーロボット。(1)、(2)、(3)は製作を中止した。
・(4)について:当初価格50万円。日本で初めてだったのでものすごく売れた。12万円の対抗商品がでたが、質的に良くなかったので無視し、抜本的な対策をしなかったが現在そこが1位。今ではシェアを容易にひっくり返せない。
・成功事例は稀有で失敗事例ははるかに多い。成功例よりも失敗例にこそ学ぶべきことは多い。事業を始めようとする人は失敗すると思っていないので致命的になるまでやってしまう。失敗したとおもったら途中でも早期にやめて、多くのチャレンジをするほうが成功の確率は高い。
7)これから起業する、起業して悩んでいる人へ
「本当にやる気はありますか?」「その事業は好きなことですか?」。ほかに仕事がないからとか儲かりそうだからという理由だけで会社を起こそうとしているなら、やめたほうが良い。会社の運営はつらく、だれにでもきることではないので。
※社長は人質業、日本の場合は投資でも厳しい条件が多く、代表者は連帯債務を担う。経営者にとっての一番大事な能力はストレス耐性である。今、はやりの鈍感力とは違い、ちゃんと受け止めて、なおかつそれに耐える力が必要。
以上
担当:坂戸・鈴川
