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2007年度(2007.4~2008.3) ワークショップ講演
■第09回ワークショップ(2007年6月14日開催)
●ゲストスピーカー:株式会社大阪マルビル 顧問 吉本 晴彦氏
タイトル:どケチ精神と生き金・死に金
<講師について>
吉本晴彦講師は、大正12年、大阪市で出生された。昭和29年、31歳にて吉本土地建物株式会社社長に就任。その後、念願の大阪マルビルを建設される運びとなった。そして、50歳の折に、「大日本どケチ教」を設立。大阪を代表する財界人、森下泰氏(森下仁丹株式会社)や、鳥井道夫氏(サントリー株式会社)とともに、「大阪三ケチ」と呼ばれた。これまでも広くマスコミでの活躍や多くの著者を出版されたことは周知のことである。
<講話内容>
「ケチ」と「シブチン」は違うものである。ケチのケは経済のケ、チは知恵のチに通じる。無駄金や、納得できない金は使わないのが賢明だ。つまり、「生き金」の使い方を知っているということである。シブチンは大事な場面においても出し渋るので、大失敗を招く羽目に陥ることもある。これが「死に金」と呼ばれるものである。
このような話とともに、大阪を象徴する人物、井原西鶴の西鶴商法と言われる、「始末」「才覚」「算用」の観点を軸にして、正しいケチ精神の重要性を強調された。
「大日本どケチ教」の経典には、(1)ケチは目的を持つこと(2)一切の見えを捨てる(3)生き金を使い、死に金を使わない(4)他人に迷惑をかけない (5)常にユーモアの精神を持つとある。つまり、目的もなしに蓄財をしてもやりがいがないので、仕事を起こすとか、家を建てるなどの目的を持つことが大事である。要は、お金はプラスになるように使わなくてはならないということである。
究極の「生き金」とは、人を助けるのに使うお金のことであろう。後悔をするような、空振りのお金を使うのが「死に金」である。財布に沢山お金を入れて人前で見えを切るより、常に小額を携帯し無駄使いをしないのが肝要である。しかし、シブチンをして、人に迷惑をかけるのはよくないので、ユーモアのある、笑えるようなケチを実行するのが良いであろう。加えて、すべての事柄に感謝をし、常に「勿体ない」という心がけを忘れないことである。
そして、この経典以外に、「大日本どケチ教」では、お釈迦さんの「無財の七施」を実行している。「無財の七施」とは、眼施、顔施(眼も顔も笑うこと、商売=笑売。)、心施(真心で人に接すること。)、身施(自分の身体で施す=ボランティアをすること。)、言葉施(人の嫌がることを言わない。)、床座施(人に席を譲るなど、和の精神を持つのは大事。)、房舎施(住まいを掃除して清潔に保つ。)の七つの施しを指す。これらの教えを日々守っていくことにより、皆が笑顔で過ごせるのである。七つともお金を使わないでできる事柄ばかりである。さらに吉本家では、「親類といえどもお金の貸し借りはしない。」といったことなどを戒めた、『先考遺訓』という五ヶ条の家訓を定めている。先祖を大事に思い、これを代々伝えることによって、家系の繁栄が保たれていくことになると確信しているのである。
<感想>
各項目において、身近な具体例や体験談を交えながら、分かり易く話して頂いた。お金は使い方によって、「生き金」にも「死に金」にもなってしまうということがよく理解できた。四隅を丸く削ったマルビルは、効率の面で四角いビルに劣るかもしれない上、建築費の観点から考えても実に不経済である。しかし、マルビルは大阪のシンボルとしてその名を馳せ、抜群の知名度を誇っている。これは、企業経営において、大いにプラスの効果をもたらしたに違いないであろう。まさに「生き金」を使ったということの証明である。物腰柔らかく、ケチの真髄を語られる吉本晴彦講師の講演の中には、お金の使い方がいかに重要であるかといったことの他に、人間がどう生きるべきかの知恵がぎっしりと詰まっていた。吉本氏の大阪特有の経済合理主義は、根底に流れる「勿体ない精神」のなせる技である。 起業を志す者にとって、大いに感銘を受けた講演であった。
以上
文責:太田 妙子・荒木 亜衣
