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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2008年度(2008.4~2009.3) ワークショップ講演

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■第05回ワークショップ(2008年5月8日開催)

●ゲストスピーカー:社会福祉法人プロップ・ステーション 理事長 竹中 ナミ氏

タイトル:ICTが創造する、ユニバーサル社会

<講師紹介>
1948年、神戸市生まれ。神戸市立本山中学校卒業。重症心身障害の長女(現在35歳)を授かり、独学で障害児医療・福祉・教育を学ぶ。社会保険国民会議委員、財務省財政制度審議会委員、総務省情報通信審議会委員、内閣府中央障害者施策推進協議会委員、国土交通省「自律移動支援プロジェクト」スーパーバイザー、などを歴任。著書には「プロップ・ステーションの挑戦」(筑摩書房)、「ラッキーウーマン ~マイナスこそプラスの種~」(飛鳥新社)がある。ニックネーム「ナミねぇ」で親しまれている超元気な関西人。

<講義内容>
■「プロップ・ステーション」とは
  ICT、コンピューターとインターネットを駆使した活動。インターネットはどんな重度の障害者でも、自分の力で情報を受け取れ、発信できる素晴しいツール。障害者も仕事を得て、稼ぎ、TAXペイヤーになれる可能性がある。
  約20年前、元ラガーマンのある青年と出会う。彼はラグビー試合中の事故で首を骨折。全身麻痺の寝たきり状態になるが、自分で死ぬことすらできなかった。しかし、自分には考える力が残されているのだということに気付き、大学に進学し猛勉強をする。さらに大学院博士課程を修了し、マンション経営のソフトを完成させ、事業を運営する。彼とナミねぇはともに、障害者個人の個性を活かすようなボランティア活動をはじめるようになり、現在の活動につながる。
  「プロップ」とはラグビーのポジションのことで、彼が名付け親。また、支え合うという意味もある。彼の「経営能力」と「PC技術」、ナミねぇの「話術」と「度胸」をかけ合わせると、障害の有無に関わりなく支えあえることから、組織名称に。

■「チャレンジドと雇用政策」
  「challenged」は、約18年前、アメリカで作られた造語。神から挑戦するという使命、資格を与えられた人という意味。アメリカでは障害者だけではなく、震災復興に立ち向かう人などにも用いられる。日本の「法定雇用率」制度では、企業にとっての障害者は、それをクリアするためのポイント数とみなされる。障害者のできることや、個性を伸ばし、そこに着目する雇用政策が必要。障害者の雇用率は1.8%であるが、大企業の8割は達成していない。

■ナミねぇの愛娘について
  ナミねぇの娘は35歳で重症心身障害者。目は光を感じる程度、音は聞こえるが意味は理解できず、言葉もない。手を引くと歩けるようになったが、まだナミねぇを母親と認識できていない状態。でもすごく愛しいナミねぇの宝である。
  超スピードの少子高齢化社会の中、障害をもつ子の親として、どうすれば子供を残して安心して死ねるかを考え、プロップの活動を発足。一人でも多く、支える意志を持った人を生み出してから死にたい、と思っている。

■プロップ・ステーションで活躍しているチャレンジドたち
◎絵本作家の道を実現した女性
  全身性の筋肉の難病。母の介護で暮らす。プロップ・ステーションのセミナーに通い、グラフィックスを学び。現在は絵本作家として活躍のかたわらイラスの仕事をしている。
◎脳性麻痺の男性
  不随意運動のある右手でグラフィックスを学びプロに。母の介護で暮らす。シュールなイラストが好評。プロップ・ステーションは技術を身につけたチャレンジドの、バックオフィス機能を担当。納期、価格、クオリティにプロップ・ステーションが責任を持ち、発注者と契約を交わす。
◎社長になった、全身麻痺の男性
  口に棒を加え、PCを操る。マイクロソフト日本の成毛社長(当時)が彼の実力を評価して出資。ソフト開発会社を興す。休みの日には、近隣の子供たちにPCを教えるNPO活動をを行っている。
◎仙台で、在宅で働くプロップ・ステーションのスタッフ
  養護学校卒業後、プロップ・ステーションにメールで「学びたい、働きたい!」とアクセスしてきたのがきっかけとなり、遠隔講習生となり技術習得。家族のサポートを得ながら、遠隔地(仙台)でスタッフとして活躍。プロップが主宰した官僚向けの遠隔セミナーでは、彼の自宅と厚生労働省をインターネットでつなぎ、講師を務めた。

 このように、ナミねぇが出会ったのは「もともとエリートだった障害者」ではなく、可能性をたゆまぬ努力で花開かせた、チャレンジドたちである。

■まとめ
  自分自身は人と人をつなぐことが仕事だと思っている。人は、立場によって使う言葉が違うので、それをお互いの分かる言葉に翻訳し、コミュニケーションを深める通訳者かも。
  社会のルールにはまらない娘。その娘が元不良の自分を解放し、成長させてくれたと感じている。自分が元気でいることも、自分の仕事だと思う。

<質疑応答>
Q:成功された障害者のお話が中心であったが、途中で挫折をする方もいるのでは?
結果ではなく、途中の過程が大切。挫折したと思っても、また復活する人もいる。できないことだけに着目するのではなく、その人ができる能力を磨くことが重要。そして様々な方法で生きていく道を社会にいっぱい創ることが必要。周りは「できること」を褒める、当人は「苦手分野は得意な人と組む」といった柔軟な考えが求められている。誇りを失う必要はない。

Q:自社でも身体障害者を雇用したいが、ビルにバリアがある。どのような方法があるか?
自社ビルであれば、バリアフリーの改装を勧める。その際には公的な補助金も支給される。また視点を変え、プロップのように在宅でも働けるシステムを構築するのも選択肢だ。

Q:ナミねぇのモチベーションの高さ、元気の秘訣は?
テンションの高い性格だからだろう。そして、娘の存在が大きい。娘が自分をはげましてくれていると感じている。誰にでもパワーはあるが、そのパワーをどう活かすかが大切。人のプラスの部分を見て、相手から良いパワーをいただいている。

Q:プロップステーションではチャレンジドを登録して管理しているのか?
チャレンジドのゆるやかな登録システムがある。プロップ・ステーションは仕事の営業&チャレンジドとクライアントをつなぐ部分を担う。プロップ・ステーションが仕事の契約主体となり、チャレンジドは在宅で仕事を行う。プロップ・ステーションを卒業し、起業するチャレンジドもいる。


講義後アントレ分野学生に囲まれた竹内講師

以上


文責:宮本 知典・柊 伸江

 

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