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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2008年度(2008.4~2009.3) ワークショップ講演

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■第13回ワークショップ(2008年7月3日開催)

●ゲストスピーカー:立命館大学MOT大学院 テクノロジー・マネジメント研究科
教授 石田 修一氏

タイトル:テクノロジー・マネジメントとアントレプレナーシップ

<略歴>
 1992年東京工業大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程修了、ソニー株式会社勤務【技術開発の研究(リチウムイオンバッテリー)】日本学術振興会特別研究員、2000年北海道大学大学院経済学研究科経営学専攻博士後期過程修了、北海学園大学講師、同助教授、2004年立命館大学経済学部助教授、 2005年テクノロジー・マネジメント研究科所属 現在に至る。
 その他 京都環境建設研究会(4K)研究会メンバー【京都大学・建設マネジメント講座】(木造住宅産業のビジネスモデルについて研究)、社会的活動として経済産業省や国土交通省の本省および地方局における関連委員に任命されている。

<専門分野>
経営学、社会システム工学

<学術領域>
経営組織論、経営戦略論、イノベーション論、ネットワーク理論、グラフ理論、OR

<主要研究テーマ>
イノベーター研究、地域企業研究

<主な著書・論文>
「知のテクネー」、寺本義也編「知識文化論Ⅰ」:知の神秘と科学」、新評論、2001
「研究開発における産学官の知識交流と知識有効性」、
「オフィス・オートメーション:情報系」Vol.19、No.1、1998

<講演内容>
1、主要研究テーマの紹介
1)イノベーター【イノベーションを起こす人・革新を担っていく人】研究
・オープン・イノベーター【オープンイノベーションに係る人】
・サービス・イノベーター(サービス・サイエンス)【IBMが最初に提唱:ハードウェアで儲けるのではなく仕組みで儲ける】
・アントレプレナー【起業家・革新者】
・リードユーザー【SCMの中の技術革新の担い手】学生を使ってピラミッティング(片っ端からインタビュー)している。
・イノベーター(イノベーションを起こす主体)
・クリエーター【新しい新規的なアイデア・製品・サービスを作る人】
・リスクテイカー【リスクを背負っていく(踏み込んでいく)人】アントレプレナーシップの一要件である。
・リスクヘッジ・スペシャリスト【何処から降ってくるかわからないリスクに備える人】受身的ではある。
・マルチ・パフォーマー【専門性を高める人材が求められる中で、個々の専門分野(不連続点)をブリッジ(架橋)する(核心を担う)人】アントレプレナーシップを発揮する人材である。

2)地域企業【京都の林業および八尾・東大阪の産業集積】研究
・産業集積化を促進する中小企業の行動の要因
・起業家(アントレプレナー)のネットワーク
・サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)【横の繋がりの視点が強い中、縦の繋がりの視点に注視】
・企業間連携【京都環境建設研究会にてSCM(縦の繋がりのどの主体が主導すればうまくいくか⇒主導の主体は消費者に近い川下あるいは素材の川上が常識といわれるが、中間主体でも主導しうるのではないか)を研究】
・地域企業の分析視角
・アントレプレナーシップ【人(イノベーター)・企業・組織】
・社会ネットワーク【数量化できるメリットがある】
・プロジェクトマネジメント【SCMで作るプロジェクト】
・社会システム工学【業務分析】

2、テクノロジー・マネジメントとアントレプレナーシップ
  テクノロジー・マネジメント研究科(立命館大学MOT大学院)には博士課程があり、専門職大学院ではないが、修士課程は専門職大学院として機能している。この大学院は理工学部(理化学系)の先生が中心に作った。技術マネジメント(MOT)とビジネススクール(MBA)との違いはあまり明確ではなく、差がつけづらいものがある。
  これまでの日本の技術開発は世界の後追い(模倣)でキャッチアップ型が多かったが、それにも限界がきた。今日、フロントランナーに立ったとき、新しい取り組みが求められるようになり、技術マネジメントが重要になってきた。といってもある面では世界をリードしている部分もある。その部分に関しては、マネジメント上の工夫として学ぶべきところがいくらでもある。
  技術マネジメントとして考えなければいけない部分として、死の谷とダーウィンの海がある。基礎(シーズ)研究と応用製品化(マーケット)研究の成果はよくできているが、その両研究の中間のプロセスが一生懸命になされていない。繋ぎとなる部分の取り組みが立ち遅れている。しかし両研究の技術者達はきちんと理解できていない。MOTはこのような研究をトータルに理解でき、ビジネスとしてブリッジできる人を観ていく。まさしくアントレプレナーシップを発揮していくといえる。
  技術戦略については、技術プッシュ(プロダクトアウト)と市場プル(マーケットイン)の考え方があるが、技術寄りよりもマーケット寄りの方が成果は高そうである。我々の研究科で学びたい社会人の現場技術者は、マーケットの分析・読み方を学びに来る(関心がある)、あるいは期待している技術者が多い。技術戦略は技術が戦略を決めるのか、戦略が技術を決めるのか、一つの物差しの中で考えていく。
  Make or Buy(技術シーズを自分で調達するか買うか)の延長線上に、オープンイノベーションという考え方がある。特にベンチャーにとってはオープンイノベーションという考え方が重要になる。
  次に、イノベーションのジレンマについて話す。顧客の要求(ニーズ)に対して、技術的パフォーマンスとして先行技術が先行するが、顧客の要求範囲で後発技術が技術水準を高めながら後追いしてくる。そのため先発技術企業群が総崩れになる。破壊的イノベーション(後発技術)に対しては気をつけなければならない。しかし、コントロール不能だからといって絶望してはいけないという人がいる。事象研究の中で、限られた選択肢の中で最大化を目指して動けばそれなりに成果は上げられるといわれている。このようなことがあるということだけは認識しておく必要がある。
  東京大学・藤本教授の製品アーキテクチャの類型によれば、ものづくりのあり方としてインテグラルかモジュラー、いわゆる擦り合わせか組み合わせか、クローズドかオープン、いわゆる囲い込みか業界標準化という組み合わせの型がある。そのような中で、インテグラル・クローズド型、モジュラー・クローズド型、モジュラー・オープン型の事例は多く見られる。しかし、インテグラル・オープン型の組み合わせが見られない(あまり問題視されていない)ので、その部分に注視している。例えば家を建てるというものづくりのあり方の中で、地域のアントレプレナーシップが発揮するポイントとして、地域企業の中小企業間(オープン)で擦り合わせ(インテグラル)できるのではないか。
  Make or Buy(技術シーズを自分で調達するか買うか)のところで述べたオープンイノベーションに関連して、技術のシーズを戦略的意図の有無に関係なく社外から取り込みまた出すこと(インバウンド・アウトバウンド)が、良くも悪くも会社に反映されることがある。単なるアイデアだけが入ってくることはなく、そこには人も入ってくる。それがプロジェクトを動かすチャンスを生むのではないか。
  イノベーションのダイナミックスにおいて、製品イノベーション(アイデア)と工程イノベーションをブリッジするマルチ・パフォーマーは重要な役割を果たしてきたが、企業の中では評価されていない。しかし、その人材はMOT人材であるといえる。

 所謂、人というものに注目して、これまで会社で評価されていなかった人がどのようなところで役に立つのか、その人材が社会に役立たないかを研究している。

<担当学生の感想>
  どのような企業であろうと、絶えず追い求め続けなければならないもの(戦略)は、イノベーションとマーケティング、そして組織づくり【人によって組織は作られる、あるいは組織によって人が作られる】であろうと考える。
  米国におけるMOT創造の歴史的背景は、日本のMOT研究が指摘するような日本企業に対する相対的な競争低下への対策ではなく、米国の絶対的な競争低下への対策であろうと思われる。
  現在の日本の状況を概観すると、米国における絶対的な競争低下に類似しているように思慮する。
  特にバブル崩壊後、終身雇用制や年功型賃金制(長期雇用慣行)が崩れ、新人事考課制度(業績考課・能力考課・情意考課)の導入により成果(評価)主義が重視されてきた。その結果、個(社員)は個人の成果のみを追及し、石田先生が注目されている個あるいは部署の繋ぎ(ブリッジ)部分は評価されない(あるいは評価が低い)ため希薄になっていることは事実であろう。
  現在、多くの企業は専門職(スペシャリスト)育成に重点を置きつつあるのは事実であろうが、総合職(ゼネラリスト)も存在する。本来、この総合職が繋ぎを担わなければならない存在であるはず。しかし現実は、総合職といえども個または部署の成果(評価)重視と共に、ITの進化に伴う組織づくりがITの進化に順応していない(部署内外で直接的対人関係を伴うコミュニケーション不足等が生じている)ことは事実であろう。
  これからの企業の発展要素としては、イノベーションやマーケティングへの取り組みは重要であるが、それ以外にも個々のモチベーションが高められる(縁の下の力持ちにも高い評価が得られる)人事評価制度のあり方や、IT時代に相応しい個々のコミュニケーション能力が高められる組織づくりに注視すべきであると思慮する。


以上


担当学生:村田・曽我部

 

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