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2010年度(2010.4~2010.7) ワークショップ講演
■第02回ワークショップ(2010年4月15日開催)
●ゲストスピーカー:Global Catalyst Partners Managing Principal & Co-Founder 大澤弘治氏
タイトル:シリコンバレーのベンチャー企業事情と起業家精神
1. 講師紹介
1961年東京都生れ。慶応義塾大学理工学部卒業、東北大学工学研究科博士課程終了。1985年、三菱商事に入社し、情報産業関連の事業開発や投資に従事。同社在職中、1999年までの6年間、同社シリコンバレー事務所でベンチャー企業への出資・事業開発を通じ多くの事業機会創出に貢献した。1999年に三菱商事を退社後、ベンチャー・キャピタルであるGlobal Catalyst Partnersをシリコンバレーにて設立し、General Partnerを務めている。
米国およびアジアのシードステージ(創業段階)のIT関連ベンチャー企業に積極的な投資を行っている。2003年に2号ファンド、2005年には3号ファンドを設立し、現在約3億ドルを運用している。また、グローバルな仕事をするシリコンバレー在籍者によって結成されたJapanese Technology Professionals Association、シリコンバレーの日本人起業家を支援するSilicon Valley Japanese Entrepreneurs NetworkなどのNPOの役員を務めるとともに、東京大学関連のベンチャーに対して投資する東京大学エッジキャピタルのインキュベーションパートナーも兼務している。
2. 講義内容
Ⅰ 米国ベンチャー・キャピタル投資-視点と役割
■ ベンチャー・キャピタルとは、機関投資家(政府系基金、年金基金、寄付基金、個人資産運用基金など)や企業などの出資者から投資資金を預かり、ベンチャー企業へ投資を行いその育成に寄与し、株式公開や企業売却によって得られたリターンを出資者へ分配するPrivate Equity Fundである。
■ ファンドの設立にあたって投資資金を調達する。また「トラックレコード(実績)」「戦略」「ネットワーク」を駆使して出資者から出資してもらうという意味でVC自体もアントレプレナーである。
■ ベンチャー・キャピタルのアクティビティ(優良案件の発掘、Due Diligence・交渉・マネジメント支援、Exit)の中でもポイントとなるのが、優良案件の発掘とマネジメント支援である。優良案件発掘からExitまで、大体5年から12年掛かる。トータルアクテビテイの中でマネジメント支援に時間を割く比率が極めて大きい。
■ ベンチャー・キャピタルは投資対象を市場規模、技術・ビジネスモデル、経営者の資質の3つの大きな基準で投資判断を行っている。
■ 投資案件発掘のネットワークについては、優良な紹介筋が必要になる。これまで投資した案件の多くは、知り合いの紹介であった。実際には、優良案件を発掘するため年間200件面談し、その中から交渉フェーズに持っていく。また、投資する際見込む利回りは一般的には20%である。意思決定には、投資者メンバー全員がYesを出さなければ投資しない。
■ Due Diligenceについて、リスク評価の対象としては、
(1)人・チームリス
(2)技術・ビジネス開発リスク
(3)市場リスク
(4)資金リスク
以上の4つが潜在的なリスクとして存在し、中でも「市場リスク」に対してのリスク評価を重視している。VCにとっては対象市場規模がどれだけ大きいか、パイがどれだけ多いかがポイントとなる。リスクを減らすためバランスをとり、ファンドを分散する必要がある。
Ⅱ シリコンバレーから見た日米ベンチャー・キャピタル比較
■ 日米ベンチャー・キャピタルはキーとなるインフラ面では特に差は感じないが、リーマン・ショックを経て特にリスクマネーを投じない姿勢がシリコンバレーのベンチャーとは大きく異なる。日本とアメリカの大きな差としては、「人」に対するリスクの考え方が挙げられる。アメリカでは、層の厚い人材プール(各バックグラウンド別のエグゼクティブ層)が存在し、人的リスクに対応しやすい(代わりの人はたくさんいる)。反面、日本にはそういった人材のプールがない(もしくは人材の層が薄い)ため、人的なリスクに遭遇した場合、回避しにくい。
■ 起業についての考えに違いがある。米国では個人キャリア開発の嗜好が強く、チャレンジ精神が大盛である。その背景には、起業して成功した人(ロールモデル)が身近に存在するということも挙げられる。
■ 米国には、人的、資金的、技術的な面で、大企業がベンチャー企業を活用することは有益であるという発想がある。日本には、新規事業を大企業内部で行おうとするため、外部資源を活用しない傾向にある。
■ 米国機関投資家には、長期投資に対する理解が一般化している。一方、日本では、まだ短期的な流動性に主眼を置く機関投資家が多く、VC投資といった長期的視点での投資を好まない傾向が強い。
■ 投資の額という面では、日米間では投資額10倍以上の差がある。
3 所感
起業家か経営者にとって、起業する際に資金を調達するために、ベンチャー・キャピタルに認められる事業計画を立たなければならない。そのため、事業計画について対象市場規模や成長性の分析、市場に入るタイミングの把握、競合に対しての戦略、能力があるチームを作りなどが大切である。そして、投資家とのコミュニケーションは不可欠だと思う。
また、起業家自身には、夢の実現に向けて勝つ精神力、強い自己責任意識、物事に対して性格の明るさなどリーダシップを持つことが重要である。
以上
文責:劉娜 ・ 伊吹
