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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2011年度(2011.8~2011.3) ワークショップ講演

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■第04回ワークショップ(2011年10月27日開催)

●ゲストスピーカー:ミュージックセキュリティーズ株式会社 代表取締役 小松真実氏


タイトル:新しい金融技術が支える音楽支援、地域活性化、被災地復興

1.講師プロフィール
代表取締役として、マイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」を運営するミュージックセキュリティーズ社を経営。現職以前はミュージシャンとして音楽活動を行っており、ミュージシャンが資金調達を行えないことが、音楽的にも経済的にも独立性を阻むものとして、ファンから投資を募るファンドを組成することを目的として2000年に同社を創業。2006年より、音楽だけでなく、日本酒の酒蔵、農業、林業、プロサッカーチームなど、様々な業種の事業者のファンド組成を始め、現在、19業種、144本のファンドを組成している。東日本大震災における被災企業を支援するため、「セキュリテ被災地応援ファンド」を立ち上げ、開始9か月間で延べ13,000人の個人投資家を集めている。多摩大学卒業(経営学専攻)、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。

2.講演内容
2-1.会社の事業概要
  証券化事業
   ・事業の証券化業務(マイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」)
  音楽事業
   ・音楽制作・販売・著作権管理業務(音楽レーベル「MS Record」)

2-2.会社の沿革と概要
“もっと自由に音楽を” との思いを実現する為に、 2000年12月、50万円にてミュージックセキュリティーズを合資会社として設立。第1号音楽ファンド「BOLERO-1」を2001年1月に募集する。そのファンドを実現するプロセスで多くのご協力者に恵まれ、2001年11月ミュージックセキュリティーズ(略してMS)有限会社を設立。社会的意義に共感したベンチャーキャピタルからの出資を得て、 2002年5月に有限会社を株式会社化し、代表取締役に就任する。音楽ファンド事業で培ったノウハウ・WEB システムを元に、レストランファンドなどエンターティメントファンドを手がける。
「次世代に伝統産業を残すためのファンドを作れないか」との思いから、2007年、転機となる「全量純米酒ファンド」を創設。純米酒は米などの原価が高い一方、数年間の熟成期間を要するものもあり、資金回収に時間がかかる。実績がない酒蔵は資金調達が難しく、倒産に追い込まれ、純米酒づくりを断念するケースもあった。小松社長は純米酒製造を守るために神亀酒造(埼玉県蓮田市)と信頼関係を築きながら全量純米酒ファンドを実現させる。
2008年、第二種金融商品取引業者として登録する。
2009年、セキュリテが誕生。「セキュリテ」とは、インターネットと金融技術を用い、大切なものを守っている事業主と個人投資家を直接つなぐ、新しい投資+コミュニティのプラットフォームである。

2-3.証券化事業の主な特徴
○投資対象
  地域の特徴や専門性の高い技術を有している事業
○投資家
  ・属性:30代から40代(男性・女性の比率=7:3)
  ・動機:事業への共感や参加意欲
○出資方法
・一個人につき一口1万円~5万円程度の小額出資
1人の投資家から1000万円出資いただくよりも、1000人から1万円出資いただいた方が、一人ひとりの思いがこもっていて価値があると考えるからである
○リターン
  フィナンシャルリターン:出資金を活用した事業の一定期間(1年~10年程度)の売上の一部を分配
  コミュニティリターン:投資家に対し、楽しい・嬉しい特別な価値の提供
           (音楽:CDジャケットに名前記載、日本酒:熟成中非売品贈呈など)  
○ファンドの仕組み
   インターネットを通じて事業のファンである投資家(消費者)を募集し、金融技術を用いてファンドを作る  

全量純米酒、秋鹿ファンドの例

参照:http://www.zenryojunmaikura.jp/

 音楽ファンドの他、アパレル、スポーツ、カンボジア貧困削減等様々な分野のファンドがある。ファンドの数は2011年11月末現在で143本となっている。

2-4.被災地応援ファンドについて
東日本大震災により被災地は大変な状況となった。MSは本業をとおしてコミットメントすることにした。
被災地復興のためには事業の再建が必須であり、事業に必要なものはリスクをともに負担できる資金、すなわち、直接、企業を支援できるリスクマネーであるという結論からセキュリテ被災地応援ファンドが生まれる。
特徴として次のようなことが挙げられる。 
1、事業の復興に向けて、個人の応援の気持ちと資金を結集することができる。
2、全国の個人と出資という形を通し直接つながり、復興までの中長期的な関係を作ることができる。
3、申込み単位は一口5000円で、応援金として一口あたり5000円が別途必要である。
4、配当以外のコミュニティリターン(商品購入予約や体験などお金以外の価値)を組み合わせて投資を募ることにより、融資を簡単には受けることができない事業主にも資金調達機会が広がり、既存の金融を補完できる。
金融機関との連携実績として、現在までに28本のファンドが立ち上がっている(11月30日現在)。
このファンドの事業者と投資家、それぞれのメリット、デメリットを簡単に表すと次のようになる。

事業者・投資家のメリット 事業者・投資家のデメリット
・半分が寄付である(事業者)
・売上に応じた分配となる(事業者)
・事業の顧客を作ることもできる(事業者)
・配当以外のコミュニティリターンによる価値(地域・事業者とのつながり)を得られる(投資家)
・元本割れした場合、投資家の信用を失ってしまう可能性がある(事業者)
・配当の金額や期間が不確定である(投資家)

なお、事業者は投資家に対し、情報を継続的に提供する義務を負う。

3.質疑応答
同業他社は存在するのか?
  現在は存在していない。ではなぜ、自社が残ったのか。
1 良い事業、良い投資家と出会えた
2 ファンド以外の事業(音楽事業)も運営
どこで儲けているのか?
  後ろめたいこと(かっこ悪いこと)はしたくないので、儲けなくてよいところでは儲けていない。
  しかし、全てを社会貢献としてやっているわけではないので、利益を出さなくてはいけないところでは人の3倍働いて、人の3倍稼いでいる。
うまくいくファンドといかないファンドの違いがあるとすれば?
  つじつまがあっている事業かどうかというより本気度の違い。酒蔵などは、お客様の好みを調べ、逃げない姿勢(本気度)を持って酒作りを行っている。
音楽ファンドよりもレーベルを作った方がよいのでは?
  他メジャーレーベルより話がきているアーティストもいる。しかし、彼らはインディペンデントな姿勢を大切にしていることにより、敢えてメジャーデビューしない。彼らにはアーティスト活動以外の実務、マネージメント等のバックアップが必要であり、その部分をサポートすることにより共存している。
※インディペンデントindependent=〈人・精神が〉自主性のある,自立的な;〈意見・行為が〉独自の,人に頼らない

4.ワークショップ後のディスカッション
 今回は従来WSとは異なり、各チームに分かれプレゼンテーションを行った。テーマは、農産物を扱った事業プランを用いた仮想ファンドを設定し、3000万円の資金調達をするためにファンドと事業に関する説明を投資家に行うというものであった。

各チームテーマ
 ■レシピ提案と連動した食材マネジメント事業
 ■今こそ日本農業復興のとき!(休耕地活用による大型農業化へのシステム作り)
 ■水耕栽培による野菜の製造・販売&都心の空ビル再生 

 当日はお忙しいなか、小松様にもご参加いただいた。
そして、このようなプレゼンを行う際には、
○独自性を持ち事業コンセプトを反映したリターンについての説明が重要である
・・・投資家にはいったいどのようなメリットがあるのか?
○資金の必要性を裏付ける気迫ある内容のプレゼンが不可欠である
・・・絶対に今まさに資金が必要なのだ、と相手に理解してもらうにはどうするべきか?
というご講評をいただいた。
  3つのグループとも、プレゼンでは事業内容の説明がほとんどで、リターンや資金使途の説明や気迫に欠けていたように思う。小松様のご講評をいただき、資金調達に際して、投資のリターン(コミュニティリターンも含めて)や事業家としての本気度をアピールする重要性を再確認することができた。

5.所感
 ご講演のなかでいちばん印象に残った部分は、「インディペンデントな人たちが事業をあきらめなくてはならない何かを少なくしていきたい」とお話されたところであった。
「インディペンデント=本気度」であると考えると、MSは、自身が「インティペンデント」である小松様がインディペンデントなメンバーとともに、新しい金融技術を通して、インディペンデントな事業や事業主を支援する会社であると考える。
  アントレプレナーシップを学ぶ私たちにとっては、新しい金融技術と、アントレプレナーに不可欠である事業主としての姿勢のあり方を学ぶことができたワークショップでした。

(担当:伊藤・村山)

参考
http://oen.securite.jp/
http://www.securite.jp/
http://www.musicsecurities.com/
http://case.dreamgate.gr.jp/mbl_t/id=537
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/kigyou/news/090110.html

 

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