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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2011年度(2011.8~2011.3) ワークショップ講演

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■第06回ワークショップ(2011年11月17日開催)

●ゲストスピーカー:日本大学 経済学部 准教授 大森 信氏


タイトル:トイレ掃除で組織改革

講師プロフィール
神戸大学大学院経営学科研究科博士課程修了 博士(経営学)
現在、日本大学経済学部准教授として経営戦略論を担当
最近の論文は「Strtegy as Practiceの現状と課題、そしてその可能性」
掃除経営論については「新入社員研修におけるトイレ掃除の意味と意義についての研究」
「企業におけるトイレ掃除活動の意味と効能についての研究」等

1.トイレ掃除は会社の足腰を鍛える
製造業などの企業経営において5Sを導入している会社が多いように、社員が積極的に掃除をしている企業は日本には多い。5Sとは、製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンである。「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5つのSからなる。5Sの起源は明確ではなく、戦後のある時期にはじまったと言われている。

トイレ掃除や掃除と企業経営について関連性はあるのか・・・
この関連性について一番わかりやすくいうと、「企業の足腰を鍛える」ということである。
例えばスポーツの世界では、足腰を鍛えることは基本であり、技が上がっていけばいくほど大切である。しかし技を磨くことと違い、基本の足腰を鍛えることは、さほど楽しいことではない。
最近の経営学では、「楽しい」「好き」が先に来る、いわゆる「技」のフォーカスが中心である。足腰の力が備わっていない段階で、「楽しい」「好き」を追求する経営ではなく、経営者自らが、基本の大切さを行動で実践し、社員に浸透させることが重要であると考える。

2.トイレ掃除で組織改革
ある商品を製造している会社がトイレ掃除を導入することになった事例について・・・
売上が前年度より2割減なのにもかかわらず、営業日報も書かないようなルートセール中心の会社の事例である。その会社は、売り先が決まっているため、社長や一部の営業幹部以外は、経営の危機感がないようである。実際に、9月末よりトイレ掃除をスタートしようと計画していたが、なかなか始めようとせず、「冬になると水が冷たくなるので、大変なことになりますから早く始めましょう!」と何度も発破を掛け、ようやく社長を中心とする一部の社員から、朝、トイレ掃除をすることになった。
しかし、実際にやってみると、便器がきれいになっていく様に達成感を見出したのか毎朝、躍起になって掃除をしだした。最初は4つの男性便器の掃除から始めようというノンビリした会社が、掃除をする便器の数も増え、もう1つの男子トイレにも派生するようになった。
またトイレ掃除をするだけでなく、自己診断でトイレ掃除についてどのように取り組んだか、日誌を書いてもらっている。「積極度:5点満点」「楽しさ:5点満点」「掃除場所」「今日の感想」の4つの項目があるだけのシンプルな日誌である。この日誌を定期的に集計し、社長並びに営業幹部を含めた営業会議にて報告をしている。
社員68人分の平均点について、「積極度と楽しさ」どちらが高いと思われるか・・・
実は、積極度は高いが、楽しさは低い。積極度3.88、楽しさは3.22である。しかし継続すると逆転し、また社歴によっても数値は変わる。
私たちの日常生活は、楽しさが上回っていないと、そもそもそれすらしないことが多い。
この試みは、日常生活と逆転する。また、皆でする達成感のあるのがトイレ掃除。皆で掃除することに意義がある。汚いところの掃除を一緒にするという、連帯感が生まれる。
そしてトイレ掃除をすることによって、5Sの導入もスムーズになる。
こちらの会社の社長は、皆と交わらず、一人で掃除をしている。本当は、社長の掃除姿を社員に見せることが一番効果的である。社長が言う「正論」は、実をいうと社員にとって一番耳が痛い。社長が正論を社員に述べるのではなく、トイレ掃除をするという行動で、経営状態の悪さや、一丸となって基本からやり直そう、ということを伝えることが大切なのである。

質疑応答:
Q 例えば、楽天は積極的に掃除をされていると聞くが、もともと掃除や整理整頓を実施している企業とそうでない企業の違いはあると思われるか。
A 積極的に掃除を導入している企業について、もともと導入しているというタイミングがどこからなのかによるが、経営がどうしようもなくなって掃除を始めるという企業や、自分たちの弱点がよくわかっていなかったりする企業が掃除を始めることが多い。

Q 事例の件、先生のアジテーションで結果が左右されたことが大きいと思った。次の段階で仕事の成果をあげるのは、また違ったアジテーションがあるのか、また、燃え尽き症候群みたいになり、掃除とは違った新しいテーマが必要となってくるのか、こういった試みを継続していくことで大切なことは何と思われるか。
A 確かにマンネリを呼ぶ。この会社の場合、トイレ以外の部分で、ちょっとした掃除の工夫や、部位を広げようと社員自ら出てきている。第二段階のアジテーションとしては、トイレ掃除の日記を書いてもらいつつ、週二回上がってくる言葉を拾い上げて次の展開へつなげるようにしている。具体的にどうすればいいかは、まだ進行中なので答えを出すことはできない。

文責:黒田・上杉

 

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