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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2011年度(2011.4~2011.7) ワークショップ講演

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■第05回ワークショップ(2011年5月12日開催)

●ゲストスピーカー:千房株式会社 代表取締役社長 中井 政嗣氏


タイトル:お好み焼き日本一の感動経営

講師略歴
昭和20年奈良県生まれ。
昭和36年奈良県當麻町立白鳳中学校卒業。卒業と同時に乾物屋に丁稚奉公。
昭和48年大阪ミナミ千日前にお好み焼専門店「千房」を開店。
以来、大阪の味を独自の感性で国内は勿論、海外にも広めている。その間、昭和61年、40歳にして大阪府立桃谷高等学校を卒業。現在、社会問題化している青少年の教育に対し、自身の経験をふまえ、社会教育家としても活動。全国各地の教育委員会・PTA・経営者団体・企業で講演等を行っている。著書に、『できるやんか』(潮出版)。

講演内容
1.これから 経営者になる人へのアドバイス
○ 経営者として必要なことは、数多くある。これから経営者になる人への、アドバイスとして、私の考えをいくつかご紹介する。

  •  「うち(自社)は、お客様のニーズを考え、商品のここにこだわっています。材料もすごく良いものを使っています。これがなぜ分かってもらえないのか」と売れない理由を語る経営者がいる。これがダメな典型である。お客様に受け入れてもらえなければ、ただのひとりよがり。まずはこのことを理解することが重要だ。
  •  私は日頃から店舗に足を運び、テーブルをまわり、お客様と名刺交換をする。お客様には、「社長がわざわざ挨拶してくれた」と喜んで頂けるし、私もお客様の声をお聞きし、気づきを得られる。お客様と会い、直接コミュニケーションを取ることは大切なことである。
  •  誇りのもてる仕事にすることだ。当社の話でいうと、お好み焼きは、実に奥行きが深い食べ物である。具には、豚肉や餅、そしてチーズもあるし、ソース、マヨネーズ、ケチャップやからしも使っている。これら複雑なものをひとつにまとめ、美味しく召し上がって頂くお好み焼きは和食でも洋食でもあり独特の日本食だ。そのお好み焼きを私は仕事にしており、その仕事に誇りをもっている。
2. 経営はヒトである
○ 経営はヒトであるというのは、私自身が経営者として実感したことである。いくつか事例をご紹介する。
  •  「商売は人柄」。吉兆の創業者、湯木貞一の言葉。そのとおりである。千房は従業員採用時、学歴、職歴は不問。本当にいろいろなヒトが面接に来る。私は面接でそのヒトの人柄を判断し、採用している。当社のような外食・サービス業における企業や各店舗の商売の質は、その企業、その店舗の従業員によって決まる。同じ商品、同じ値段なら、人柄の悪い従業員の店より、人柄の良い店に行くのが、お客様である。だから、外食・サービス業で最も大事なのはヒトと断言できるのである。
  •  経営はヒトであり、従業員教育は大事である。当社も従業員教育に注力している。そのかいもあって、中卒の従業員もバリバリ活躍している。また出所した元受刑者の雇用受けいれの打診を受け、私自身、刑務所に出向き採用の面接をおこなった。そのとき採用した二人は今も真面目に仕事に取り組み、頑張ってくれている。その彼ら二人は昨年正社員にした。このことは新聞にも二人の実名入りで紹介された。当社の教育の方針は、「くらべず、あせらず、あきらめず」。教育は、指導する側も共に成長していく「共育」である。
  •  教育を具体的にどのようにしてすすめていくと良いのか。組織で決めたことには従わせる。最初はこれだけである。好きなことはやるが、いやなことは、やらない。これでは駄目だ。会社が規則として決めたことに従わないなら、会社を辞めてもらう。このくらいの気概をもって教育はすすめていくべきである。
  •  私の一押しの従業員教育の教科書を紹介する。大正7年初版発行尋常小学修身書である。新入社員なら小1、中堅社員なら小2、経営幹部なら小3、までに記されていることを実践するだけである。極めてシンプルだが、何を学び、何を得るべきかが記されている。
     何が記されてあるか、小1の修身書をここで読み上げる。
      よく学び、よく遊べ
      時刻を守れ
      怠けるな
      友達は助け合え
      喧嘩をするな
      元気よくあれ
      食べ物に気をつけよ
      行儀を良くせよ
      始末を良くせよ
      物を粗末に扱うな
      親の恩
      親を大切にせよ
      親の言いつけを守れ
      兄弟仲良くせよ
      家庭
      忠義
      過ちを隠すな
      嘘を言うな
      自分の物と人の物
      近所の人
      思いやり
      生き物を苦しめるな
      人に迷惑をかけるな
      良い子供
     当時の時代背景から一部を割愛したが、実に示唆に富んでいる。
     この心得は「真心」である。参考にして欲しい。
  •  何のために勉強するのか自問自答して欲しい。目標とは行先に向かって努力することであり、自分のため、会社のため、国のためである。
     知識は入れるものなら、出すものは知恵である。みんなが周りの役に立つよう各々が義務と責任を考える必要がある。
3. 商売の考え方
○ 「売りたいもの」「売れそうなもの」から出発すると危ない。外食産業でも、いろいろと良い商品や企画ができているが、売り方がまずいため、あまり結果が出ていないように思う。また、出来上がった商品が試食会で大好評だったからといって「売れそうだ」と安心してはいけない。食べたことがない人には味はわからないからである。「売るもの」と「売り方」をセットで考えることが重要である。いくつか事例を紹介する。
  •  ラーメン博物館。美味しくてよい商品を揃えていたが、2年あまりで閉鎖と結果が出なかった。「食」だけではもたない場合があるのだ。
  •  千房。当社もいろいろ出店し、閉店もした。そこで得たことは、自社だけにとどまらず、あらゆる方法で地元に帰属することを考えることが大事だということである。私は道頓堀商店会の会長もやり、現在は上方お好み焼きたこ焼き協同組合、関西演芸推進協議会の役職についている。当社の場合、「食」と「笑い」をセットにして考えている。笑(しょう)は、商なり。笑は、勝(しょう)なりである。
  •  千房。当社も経営状態が悪化した時期がある。振り返るとすべて自社内部に要因があった。ここであらためて現場重視に立ち戻った。この業界は味がよくて立地がよければ、ある程度、はやるものだ。しかし、大事なのは今お客様が何を求めているのかを常に考えることである。河井寛次郎氏が「 眼聴耳視」という言葉を遺している。人の話は目で聴き、耳で見なさいということである。名言である。
4. まとめ
○ さまざまな例を交えて、私の事業経営における考え方やヒトの重要性をお話した。結びに、ここにいる皆さんにぜひ試してもらいたい事柄を紹介する。ひとつは、「大きな声は、大きな自信につながる」である。時には、自分の能力の10倍くらいの大風呂敷を広げ、自分にハッタリをかますことだ。これで、自分にプラスのスイッチが入る。ぜひ試してもらいたい。次は、「継続は力なり」である。当社では、給与明細に私の手書きの手紙を添えており、今月で292号になっている。1年は、12ヶ月だから、どれくらい続けているかわかってもらえると思う。続けること、従業員をはじめ、経営で大事なのはヒトだと理解し、それに対して、思いを形に表し行動を続けることが重要だ。続けたら本物になる。

以上


文責:塩田・高木

 

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