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2011年度(2011.4~2011.7) ワークショップ講演
■第07回ワークショップ(2011年5月26日開催)
●ゲストスピーカー:株式会社TCD 執行役員 プランニングディレクター 生山 久展氏
タイトル:企業経営とブランディング
1. 講師紹介
関西学院大学 社会学部 社会学科 卒。
大手アパレルメーカーを経て、1988年 株式会社 日本マーケティング研究所 入社。
調査をベースとしたマーケティング・コンサルタントとして15年余りの実務経験を持つ。戦略立案、調査・分析、商品開発、販促展開など幅広いマーケティング業務に従事。
01年 株式会社 TCD 入社。全社的なプランニング業務に携わる一方で、02年からはブランディング部門のディレクターとして、ブランド戦略の立案・展開業務に従事。
的確な現状分析から、本質的な課題解決のためのプランニングを得意とする。
2. 講義内容
◆はじめに、なぜブラント重視なのか?
今日、従来の4Pマーケティングによる製品差別化が、うまく機能しなくなってきている。その背景として、市場は、①真の成熟化、②同質化競争の進行、③ソーシャルメディアによる賢い消費者の出現、④価格競争の激化 と大きく変化していることが考えられる。その結果、現代消費者は製品における基本的な機能、品質に大きな差はないと思い始めるようになった。
時代が、4Pから「ブランドマーケティング」へと変化する中、ブランドの強化は全ての業界、企業の経営課題であるといえよう。
◆ブランドとは? ブランディングとは?
ブランドとは、ステークホルダーの頭の中にあるそのモノのイメージの集合体である。
ブランドの知的財産権は企業のものだが、ブランドを直接企業側でコントロールすることはできない。ブランドは、お客様を通じてのみコントロールできる(これをブランドの間接性という)。
ブランディングとは、ステークホルダーの頭の中のそのモノのイメージを良い方へ持っていく、つまり顧客の「知覚品質」を企業が考える「実質品質」や「理想品質」に近づける活動である。すなわちブランディングは、「企業らしさ」「商品らしさ」を設計し、中長期にわたって創造、発展、維持していく不断の活動といえる。
◆ブランディングを体系化するとは?
①コンセプト開発:競争優位性を設定する(ドメイン)
②デザイン開発:ブランドからの見える化を行う(基本要素)
③ブランドマネジメントプロセスの構築:ブランド戦略推進のルール、役割を設定する
④インナーブランディング:社内浸透と営業プロセスを行う
⑤ブランドコミュニティ:ブランド強化のための顧客視点の一貫性を広報する
⑥モニタリング:その後の定期的な測定と成果評価の仕組みづくりを行う
この中では、④インナーブランディングが最も難しいため、社内においてプロジェクトを作り、多くの人を関与させることが大切となる。
重要なことは、PDCAサイクルを回すこと、そしてブランド価値は基本価値と市場価値(長期的な視点でのブランド資産と短期的な競争優位)の要因で決まるということである。
◆ブランディングの進化の歴史について
(第一期 表層の時代)
1980年代のCIの時代でもあった。1980年代は日本企業の多角化の時代であったため、自分たちを見つめ直すための CIであった。しかしCIは、本来の目的とやや離れて表面的な会社のマークを変えよう運動となってしまった。
(第二期 左脳の時代)
ブランドの提供価値を言語で規定した。つまり、ブランドバリューピラミッドによるお客様の見え方表現の統一が図られた。これは現在でもブランディングの際には必ず実施される。
(第三期 右脳の時代)
「ブランドを人に例えるとどうなるの」というブランドパーソナリティの導入が起きた。そして、ブランドトーン&マナー(雰囲気、調子)の視覚化も起きた。
(第四期 五感の時代)
重要なことは、言葉だけでは伝えることが難しいブランド価値を、人の気持ちが惹きつけられるような「デザイン」に置き換えて、直感的・感覚的に伝えていく右脳的アプローチを行うことである。
◆まとめ
右脳アプローチの重要性を認識し、下記のことを実行することが大切である。
①視覚の重要性(情報の80%は視覚からである)
②すべての情報媒体から同じデザインメッセージを発信していくこと
③視覚だけでなく、五感を通じての強いブランド体験の構築
④ブランドデザインと企業戦略を一体化させる
⑤社会課題を事業機会へおとしこみ、そしてブランディングする(事業機会のベースになるものは、ユーザーニーズではなく、自社のコンセプトである)
3 質疑応答
◆企業のブランドにたいする理解がない場合はどうするのか?
「ブランドは小さいものを大きくみせるものでない」と企業の誤解を解いていく。
◆負のブランドの対策は?
企業ブランドをかえる、例えば 雪印→雪印メグミルク、加ト吉→テーブルマーク
◆ゼロからのブランドを作る場合はどうするのか?
固定したブランドイメージやイメージ負債がないため、ゼロからの方が楽である。自分たちがどうしたいのかという「志」を貫くことが大切である。
◆それでは、既存のブランドの場合はどうするのか?
まず、今の問題点を調べる。
◆海外企業(グローバル企業)のブランディングはどのように行っているのか?
最初は現地任せにしていたが、その後、統一したいと持ち込まれる案件が多い。そのような場合、企業には「こうしたい」という意思があるため、それをサポートしている。しかし、現地の説得が大変である。
4 担当より
生山氏のご講演後、私達学生は、従来とは違った目線でブランドに触れ、また、ブランドやブランディングについて考える機会を得ることができました。
今後は、自社や勤務先のブランド、そして、アントレというブランドをどう創り上げていくか、考えていくことが非常に重要なことであろう。
講義後アントレ分野学生に囲まれた生山講師
以上
担当:石神、村山
