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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2011年度(2011.4~2011.7) ワークショップ講演

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■第10回ワークショップ(2011年6月16日開催)

●ゲストスピーカー:株式会社マイズ 代表取締役 三浦 良夫氏


タイトル:ガラパゴスは生き残れるか?

1.講師略歴
 昭和57年、マーケティングリサーチの専門機関に入社。平成7年、同社取締役就任。平成13年に退社、(株)マイズの設立に参画し、現職。
 主に一部上場企業の戦略立案に参画する傍ら、ベンチャー育成講座の講師も担当。(テーマは、衣食住、家電、電子部品、化粧品、タバコ、時計、教育、通信などと多分野に亘る。)
<主な著書>
 共著 日本マーティング研究所「販売がわかる事典」日本実業出版社
 共著 「IT時代の消費インパクト」JMRサイエンス

2.講演の概要
■講師のこれまでの活動と今回のテーマ

  • 30年前から、マーケティングリサーチの仕事に携わる。当時はマーケティングリサーチ会社は10社ぐらい、現在は100社ぐらいか。企業の戦略構築のための消費者や流通の調査を行ってきた。その活動のなかで見聞きしてきたガラパゴスについて考察していく。
■ガラパゴス的なモノ
  • 日本のいわゆる多機能な「ガラパゴス携帯」⇔NOKIAの携帯はシンプル
  • 日本のパソコン黎明期のガラパゴス的な様相とその盛衰
     NECは当初より、独自言語のN-BASICの仕様をソフトメーカーに公開し、ソフトの幅を拡大するとこでユーザーの利用場面を広げ、市場を拡大していった。日本の多くの他のパソコンメーカー、例えばシャープは同様に独自言語を開発していたが、公開しなかった。
     結果はNECの勝利。しかしそのNECも、自社の独自技術に固執し、MS-DOS、Windows 等の世界のデファクトスタンダードの前に消えて行く。
  • 「ウオークマン」のガラパゴス的な様相とその後
     「ウォークマン」は、スピーカーのないステレオオーディオ機器である。携帯できるオーディオ機器として、世界初の機能を持つものであった。その付加価値から、国内市場において「ウォークマン」とは、SONYのブランドで1万円以上のものとされていた。1万円より安いものは、ウォークマンとは言わない。一時期、音楽プレーヤーとしてのトップブランドを維持しており、小ささ、高機能化へ製品の方向が傾斜していった。しかしCDなど、根本的なオーディオの技術革新により、衰退していった。
  • 大変旨いインスタントコーヒー「プレジデント」のガラパゴス的様相
     海外でインスタントコーヒーとは、レギュラーコーヒーを補完をするものであった。インスタントコーヒーの高級品という市場は成立しにくいが、日本ではコーヒーの市場がインスタントコーヒーの普及から始まり、レギュラーコーヒーに対してインスタントコーヒーの付加価値を維持していく上でこうした商品が必要となった(日本独自)。
  • 独自の発想、独自の進化を遂げる商品たち
    真ん中に電子レンジがついた冷蔵庫、庫内が回転式になった冷蔵庫
     →消費者が使う場面を想定した機能
    レトルトカレー;最初はまずかったが、少しずつ味が進化
    海外発の商品でも日本市場で進化;紙おむつなど
■何故ガラパゴスになるのか、どうあるべきか
  • 日本におけるガラパゴス化の要因
    (1) 消費者 日本の消費者は厳しい、モニタリングにより顧客の声を収集
    (2) 流通  バイヤーの要求
    (3) 製造業 きめ細かい対応、現場の技術・対応力が優れている
  • 創業200年以上というガラパゴス的な企業
    日本3,000超、ドイツ800、オランダ200 圧倒的に日本は多い。
    ガラパゴス的な技術、資産をもち、それが継続して受け入れられている。
    ガラパゴス的なものは、普遍性を作りだすものでもある。
    こうして独自進化して生き残ってきた企業が、いわゆる「老舗」企業である。
  • ところが、日本企業の最近の傾向は・・・
     「普遍性」について考え、進化していく知恵にお金をださなくなった。また、志のある仕事、商品作りをしなくなった。
    →ガラパゴス的であっても、世界に伍して生き残っていくための「ものの考え方の質」が下がりつつあり、心配している。
  • ガラパゴスについて考えるに・・・
     日本の知恵の集約、志のあるものづくりの結晶。普遍性のあるものは良い ものであり、受け入れられるはずである。それを貫くべきと考えられる。
3.主な質疑応答
  • ガラパゴスと言われないためにはどうすればよいか?
     ガラパゴスで構わない。究極の商品を作るため、信念を持ってやり通す必要がある。初年度で、売れるか売れないかは別。当初は健全な赤字であり、普遍性を追求し、売れる「はず」というものを作っていく。
  • ガラパゴスで生き残るためにはどのようにあるべきか?
     組織トップ、組織内の個人それぞれが、市場、社会に対してどうあるべきか、自分たちのミッションに信念を維持し実行する強さを持つ必要がある。
     S社の緊急プロジェクトチームは優先課題に関しては、社長よりも権限があり、組織として、上から下まで、それが必要だと認められている信念の強さがある。必要なところに、必要な権限を持たせるべきであると考えられる。
  • 志が感じられる商品、感じられない商品、とは?
     商品のコンセプトが明確である商品に志を感じる。日本はガラパゴス化といわれるが、最近ではガラパゴス的進化の中で普遍性を追求する姿勢の質も落ちてきた。作業として仕事しているという印象がある。このままでは生き残りに不安を感じる。
  • 何故、志がなくなってきたのか?
     中途半端な欧米の人事、組織制度の導入(成果主義など)も大きな要因のひとつであると考えられる。グローバルスタンダード等といって、「欧米スタイルを何でも良し」とする風潮は良くない。教育においても、算数/数学に、キチンと時間をかけることが求められる。また小学校の英語教育といわれているが、日本語をキチンとと学ぶことを優先させるべきではないか。
  • 成功したガラパゴスの例は?
     基本的には、ロングセラーの商品、サービス
     カップ麺、カラオケ、Wラジカセ などなど
4.所感
 日本の技術や品質、サービスは世界に誇れるものが多くある。「ガラパゴス」はその最たるもので、講師の言われるように、志があって、その志が理解されればきっと売れるものであろう。ただしそこには、志を理解してもらうためのプロモーションなり、展開先の国々の文化•習慣に見合った仕様の再調整をする必要があり、その活動が十分でないことも海外進出を阻む一因であるように思う。良きもの作りを今後も日本の基幹産業とするために、バリューチェーン全体に亘った支援活動が必要であると感じた。

以上


担当:諸石、藤井

 

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