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大阪市立大学大学院 創造都市研科

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2012年度(2012.4~2012.7) ワークショップ講演

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■第04回ワークショップ(2012年5月10日開催)

●ゲストスピーカー:梅乃宿酒造株式会社 常務取締役 吉田 佳代氏


タイトル:「119年目のベンチャー企業 ~会社経営における進化論~」

(1)梅乃宿酒造の会社概要

  • 当社は奈良県葛城市にあり、葛城山の奈良県側のふもとにある会社である。
  • 当社は明治26年創業の会社であり、創業より120年弱経っているが、創業より200~300年経っている会社がざらにある日本酒業界からするとまだ若い会社である。だから当社は常に新参者の気持ちを持ち、常に新しいコトにチャレンジしていくことをモットーにしている。
  • 日本酒消費量は昭和49年をピークに、それ以降一度も上がることなくずっと下がり続けている。
  • 当社は、以前はほとんど「月桂冠」の下請け用の日本酒を製造していた。当社は製造を完了すると月桂冠に納め、月桂冠は自社で調合してから販売する。
  • 日本酒消費量が下降の一途をたどり、先行きも良くないため、いずれ下請け業務は無くなると考えた。
  • 昭和54年に全商品自社ブランドで販売することとした。しかし当時は販売する方法も知らないし、営業担当者もいなかったので大変だった。
  • 日本酒を製造する人達を「蔵人集団」というが、日本酒は冬しか製造しないことから、蔵人集団は冬に酒蔵に来て日本酒を造って春になると地元に帰っていく。彼らは、春からは田を作って秋に稲を刈る等農業を行い、冬になると又、日本酒を造りにやって来るのである。
  • 蔵人集団には冬の間の半年雇用が現状だったので、後継者が育たず蔵人は高齢者ばかりになってきていた。その人材不安のため15年前頃から蔵人の年間雇用に切り替えていった。
  • 蔵人を年間雇用しようとすると夏の業務が必要である。そこで約11年前よりリキュール、焼酎の事業免許を取得した。
  • 若い従業員を多く採用したので、現在全従業員の平均年齢は30歳強、日本酒を製造しているのは平均年齢20歳台である。皆が若いので、ベンチャー企業のようでもあり、新しい事もやり易い会社となっていると感じている。
  • 国内酒類全体の販売量を100%とした時、発泡酒等を含んだビール類は60~70%を占める。日本酒は減少し7%を割ってきている。その日本酒を製造している会社の数は国内にピークの時は1万社を超えていたが、現在も1700社ある。
  • 国内酒類全体の販売量を100%とした時、発泡酒等を含んだビール類は60~70%を占める。日本酒は減少し7%を割ってきている。その日本酒を製造している会社の数は国内にピークの時は1万社を超えていたが、現在も1700社ある。
  • 夏にできる仕事を考えていた時、梅酒を思いついた。梅の実は6月頃にとれ、通常はそれを焼酎やホワイトリカーで漬けて梅酒を造る。当社は、梅の実を当社製造の日本酒に漬けて「日本酒仕込の梅酒」として販売したらすぐに売れた。2年目に3倍造り、3年目に5倍造り、4年目に思い切って20倍造った。その時期に梅酒ブームが来て、業績も急上昇した。
  • 梅酒製造の過程で発生する廃棄物「梅の実」の有効活用として、それをすり潰して梅酒に入れ「あらごし梅酒」を製造した。商品としてインパクトがあり、話題になり成功した。
  • 日本酒は国内は消費量が減少の一途であり競争が激しい。海外に目を向けると和食が流行ってきていることから日本酒が注目されつつある。当社の海外売り上げを全体の30%にまで増加させることが当面の目標である。
  • 当社の売上は7年前に比して5倍増となっている。日本酒は約120%増であり、殆どがリキュール売上が増加したことが要因である。しかし今のリキュールのブームは一過性のものと認識している。
  • 総合酒類メーカーを目指している。日本酒の酒蔵は大事にしつつ、他の酒類を造っていきたい。当社は「他社と違う事をする」のが大切だと思っている。
  • 10年前は日本酒メーカーがリキュールを造ることに対して、他の日本酒メーカーより「格がおちた」と陰口を言われていたが、当社が成功した後は皆が真似をするようになっている。

(2)当社の日本酒の啓蒙活動、国内販売促進策

  1. 大学生向けの日本酒の勉強会の開催
    大学まで出向いて試飲してもらう。生まれて初めて飲む日本酒はおいしい(高級な)ものを飲んでほしい。又、日本酒を飲むときは同量の水(和らぎ水)を飲むよう薦めている。
  2. クラブ等で販売する
    踊るクラブ等、日本酒には馴染んでないところで啓蒙活動
  3. いろいろな飲み方を考える。
    日本酒の緑茶割り。日本酒にレモンを入れる。おいしい飲み方は人それぞれであり、こだわらない飲み方を薦める。
  • 社員研修に力を入れており、その機会を持たすようにしている。他業種の一般の会社へ会社見学させることもある。
  • 月に一度、蔵での食事会を開催し、役員、従業員で情報交換している。
  • ファン作りのため蔵見学を一人から受け付けている。蔵開きといったお祭りを開催している。
  • リキュールの販売ターゲットは女性。味を決めるのも当社の女性。代表者等の意見もそのときは通らない。

(3)その他

  • 私は現社長の長女。2歳下の次女と7歳下の弟がいる。実家は会社の目の前。中学の時から実家で働きたいとは思っていた。
  • 大学の経営情報学部卒業後、歯科の総合商社で3年弱働いた。戻るよういわれて渋々「梅乃宿酒造」に戻ったが、今は充実している。
  • 「梅乃宿酒造」は、本当は弟が継ぐべきだと思っていた。私が継ぐかどうか迷い、その葛藤で3年位は何も出来ず、何も決めることができなかった。そんな時、ある人から『経営者は決めないことが最大の罪悪である』と言われ、継ぐ決心をした。それからは『決断する、決める』ということを大事にし、決めてまずはやってみる、問題があればもとに戻すか、さらに変更をし、常により良くなるように努めている。
  • 今ある環境を生かすことが大切である。日本酒業界は女性が少ない業界であるが、自分が女性であることは不利でなく、目立つ面もあり逆に有利であると今は感じる。
  • 現状がベストでないのなら、変化させる必要がある。当社の考える常識は、他社での非常識であってもよい。

経営理念 紹介

  • 三方良し 社員、スタッフがいきいきと働ける会社にしたい。そうすればおのずと結果はついてくる。
  • ①鳥の目 ②虫の目 ③魚の目 を持つのが大切である。その中で、これからは魚の目が特に大切である。
    その意味は ①は上からみる ②目の前をみる ③潮の流れ(時代の流れ)を見る、把握する。
  • 現場が大切である。報告だけではわからない。

以上

(担当学生 井上晃一、島 浩二)

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