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教員からのメッセージ

明石 芳彦
教授
MESSAGE
皆さん、こんちには。
私は、大学にずーっといまして、多くは、イノベーションやアントレプレナーシップのことを考えてきました。イノベーションとは、技術面であれ、社会制度面であれ、それまでと違う方法で事を始めることです。それは、従来の方法や制度では 解決できない問題があったり、従来よりももっと効率的な方法を提案したい人の努力と熱意によって生み出されることが多いと言えるでしょう。
一方、アントレプレナーシップ(entrepreneurship)という用語は、まだ必ずしも日本語の定訳がないかもしれません。起業家、企業 家精神、起業家的行動と訳されたり、それらと結びつけて表現されます。でも、ヨーロッパでは、近年、アントレプレニアル(起業家的)という形容詞がクリエ イティブ(創造的)という形容詞に代わっていることが多い気がします。「創造的」は人の行為の結果に関して新規性とか新しい価値を生みだしたという意味合いが込められていると思うのですが、「起業家的」となると、創造的な結果を生み出す担い手を明確にし、特定の人やグループが何らかの手段や働きかけによって、新しい価値をもつ結果を導いたという人とプロセスが見えてくるのではないでしょうか。
このように言うと、日本ではベンチャーがそれに相当した言葉ではないかと思う人もいらっしゃるでしょう。私もかつては、ベンチャーという言葉に挑 戦心、新しいビジョン、社会的価値などを重ねて理解していました。ところが、ドラッカーという人が、エスニック料理店を1店開業した人はベンチャーではあるけれども、それだけでは起業家的とは限らないと指摘しており、目からウロコがとれる思いでした。経営の基本を押さえ、周到な事業計画をもち、周りの人を 引きつけるとともに、自らも関与し相当な努力をするものだけが起業家というのです。本当に驚きました。
最近、ヨーロッパや北米では、社会制度の変革を系統的に遂行するとか、誰もが望んでいながらその実現が困難な社会問題に挑戦し、それを事業として 資金的に継続できる(サステイナブルな)状況に導く人を、社会的起業家と呼んでいます。一度限りの新規な結果にとどまらず、事業としての仕組みを変えると いう行為が含まれており、その中心的な取り組みの本人が社会的起業家と呼ばれているのです。
このような視点に立ち、私はアントレプレナーシップの涵養には、挑戦する気持ち、人を感化する「場」を設けることが大切であり、そこでさらに基本 的な事柄を学ぶ機会になれば、望ましいと考えています。皆さんも、アントレプレナーシップ研究部門に入り、新しい価値を生み出す事業について幅広く考え、自らが大きく 羽ばたく チャンスにしてみませんか。

長澤 紘一
教授(特任)
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皆さんこんにちは。私のこの研究科にかける思いを記してみます。
連休の午後、テレビのスイッチを入れるとゴルフ番組でした。ちょうど石川遼選手の優勝が決まる直前でした。このトーナメントで石川選手はプロゴルフツアーでベストスコアとされる58という大記録を打ち立て、スタート時にあったトップからの7打差を一気にひっくり返し、2位に5打差をつけて優勝しました。
彼はデビュー以来、他の選手より「より遠く、かつ正確に飛ばす」ことに集中して練習し、試合でもそれを貫いてきました。この日も最後の18番ホールで、2位を5打差引き離していましたが、1打目で300ヤードも飛ばしました。通常、5打差もある最終ホールでは、やさしいぶれないクラブで250~260ヤード安全に飛ばし、優勝をがっちりものにするのが常識です。しかし、彼は「遠く、正確に飛ばすことに集中した先に何があるんだろう?という考えで、練習も試合も貫き通す」と言っています。この日の18番ホールでの常識外のリスキーなプレーもその一コマであったに過ぎないのでしょう。私は彼のゴルフの「より遠く、正確に」というこだわりに、アントレプレナーシップの原点が重なって見える感じがしました。
リーマンショック後に吹き荒れた世界経済の停滞はここに来て着実に回復に向かっています。この停滞から回復をリードしたのは中国やインドの新興国でした。また企業としてはシリコンバレーのベンチャーIT企業であり、日本ではユニクロや任天堂といった独自のチャレンジ精神に富む新興企業でした。アップルなどはiPodからiPhone、更にはiPadという端末も加え、一大コンテンツ配信事業を展開し、世界の文化を変えようとしています。
一方、長い歴史のある大企業はどうでしょうか。この不況を作り出した金融機関は政府の支援に助けられ、なんとか立ち直りつつありますが、世界のGMやトヨタはいまだスローな回復過程にあります。
21世紀に入り、中国やインドは世界の経済に確実に加わってきましたし、資源を看板に存在感を見せ始める新興国もたくさん出てきています。従来モデルで存在してきた企業も新興国によるマーケット拡大の恩恵を受けますが、その分配においても新興国の攻勢を受けるため、必ずしも回復は急ピッチでないと感じます。もちろん既存のビジネスモデルの大企業も世界経済の底辺を支えるものとして、今後も大きな役割を演じていくでしょう。しかし、深刻な不況回復の過程で世界経済を引っ張っていくのは、上述した企業群のように新しいビジョンとビジネスモデルで新しいマーケットを創造する新興企業ではないでしょうか。
現在の日本はあらゆる意味でエネルギーを失った停滞期にあります。その場しのぎの政治の迷走、国内に閉じこもり、守りに入る安定志向の企業、国のバラマキを存在の糧とする建設業界、就職活動に親が加わる子離れしない親世代と親離れしない若者世代、大企業志向の若者、3Kを嫌う人たち、どう見ても覇気が失せてしまっている状況です。日本のビジネス界にも元気なベンチャー企業が生まれてはいますが、世界に影響を与える迫力ある企業はそんなに多くはありません。
私はこの4月から創造都市研究科の皆さんとの接触を持つ機会が増えてきています。本研究科の皆さんは、今は小さい夢かもしれませんが、自分で独立して何かをやりたいという覇気を持っておられると強く感じています。私はこの研究科が、吉田松陰が幕末に作った松下村塾のように、停滞気味の社会に風を起こす一つの核とならんとの夢を持って、一緒に学んでいきたいと思っています。
創造都市研究科を目指される皆さん、すでに在席されている皆さん、私は先に述べた石川選手のように、こだわりと夢をもって不断の努力をすれば、大きなチャンスにめぐり合えるものと信じています。

冨永 千里
准教授
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皆さん、こんにちは。
創造都市研究科アントレプレナーシップ研究分野に関心をお持ちいただき、ホームページを訪れてくださったことを大変うれしく思います。
アントレプレナーシップ研究分野では、新たな時代を切り開く起業人材の育成を目指し、社会人の方を対象に、学びの場を提供しています。社会人が働きながらも 大学院で学ぶ意義は、実務経験にもとづく問題意識からの探究が、知識やスキルの習得だけにとどまらず、学問の世界に新たな発想や視点を投げかける点と、その探究過程で得た知識や仲間、体系的・論理的な思考力が、将来、皆さんがより幅広い視野で問題解決を図る上での大きな糧となる点にあるのではないかと考えています。
斯く申す私も、社会人大学院で学んだ学生の1人で、それが機縁となり、この春よりアントレプレナーシップ研究分野で教鞭をとることとなりました。大学院に入る前は、俗にドッグイヤーと言われる、時間の流れの速いベンチャー企業で足かけ8年、経営企画を中心に、さま ざまな出来事を体験してまいりました。講義ではこれまでの実務経験と、学問の理論的視点双方から、コーポレート・ファイナンスについて、みなさんとご一緒 に考えていきたいと思っています。
大学院は学生自身が目的意識をもって学んでいく場です。ことに社会人向け大学院では、多種多様な経験を持つ社会人学生が集うため、教員からだけでなく、ともに学ぶ仲間から、実践的な知識やノウハウを伝授される機会もあることと思います。時に はお互いの価値観をぶつけ合い、切磋琢磨する機会もあるでしょう。アントレプレナーシップ研究分野での出会いが、将来ビジネスの場で、新たな価値創造に寄 与することを祈念してやみません。
ビジネスを取り巻く環境は、日々グローバルに、加速しつつ変化しています。目的意識を持って、経営や起業について考えて見たい方、実務と理論の架橋となる研究に挑戦してみたい方、ご参加をお待ちしています。

新藤 晴臣
准教授
MESSAGE
皆さん、こんにちは。
本ホームページをご覧になっている皆さんは、アントレプレナーシップやベンチャーといった分野に、何らかの関心を持たれていることと存じます。
アントレプレナーシップ(Entrepreneurship:起業家活動)という概念は、1725年にCantillonにより提唱され、1912 年にSchumpeterが新結合や革新者による経済発展を論じることで、経済学の分野で活発に議論されるようになりました。しかしながら、アントレプレナーシップの概念が、経営学の分野に採り入れられたのは、ごく最近のことに過ぎません。経営学の分野で、ベンチャー論の古典といわれる“New Venture Creation”の初版が出版されたのは1977年ですし、米国のベンチャー学会誌の“Journal of Business Venturing”の第1巻が世に出たのも、約20年前の1985年のことです。ベンチャー企業と同様、アントレプレナーシップの研究そのものが、(歴史が浅いという意味で)まさに「ベンチャー的」であると言えます。
また皆さんは、アントレプレナーシップ研究分野での、大学院生活を視野に入れているのかもしれません。大学院生活では、様々な科目を体系的に学習していくとともに、修了に向けて、リサーチペーパー(事業計画)または論文を書いていくことになります。優れた事業計画と、優れた論文との共通点としては、 「直観力」と「論理力」の両方が重要ということが挙げられます。「直観力」を磨く上では、ビジネスの現場について深く理解することが必要です。事業計画の 場合には、既存企業の提供サービスに疑問を持ち、(新たに創業する)自社であればどのように問題を解決するかを深く考えることが重要です。一方、論文の場合には、企業現場の社員(または経営者)の話を聞き、何が論点かを見極める訓練が重要となります。
しかしながらそれだけでは、優れた事業計画や論文は生まれません。事業計画の場合には、計画の枠組みに抜けがないか、またそこからどの程度の売上・ 利益が上がるか、その根拠はなぜか、といった問いに答えられる必要があります。また論文の場合には、既に同様の研究がなされているか、その中で自分の論文 がどこに位置づけられるか、その論文により新たに発見された事項は何か、といったことを明示する必要があります。そこで求められるのが「論理力」であり、そのための手段として、事業計画では、Five Forces、価値連鎖といった様々な経営戦略ツールがあり、論文作成では、先行研究のレビューが求められます。
私は、実務家として10年間、ベンチャー企業のトップ直轄部門で働いた後、研究者として7年間、論文執筆を行ってきました。実務家として経営者が困 難な意思決定をする局面に立ち会う中で、優れた決定の多くには、経営者の直観と、経営スタッフ(または経営者本人)の論理的な検証が、その背景にあったよ うに思います。また論文執筆を通じては、良い調査先に出会って直観が働き、先行研究を深く読み込んだ時ほど、(自分の中では)良い論文が書けたように思い ます。
優れた直観を磨くには、現場での実戦経験(あるいは実地調査)に勝るものはないと考えますが、論理的検証は座学での訓練が有効な分野の1つです。授業を通じて、検証スキルを高めると共に、皆様と一緒に論理力を磨いていきたいと思います。
